2011 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋サイズの制御における筋膜再構築機構の役割解明と運動器機能の維持向上への応用
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23700647
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
大野 善隆 豊橋創造大学, 保健医療学部, 講師 (80440808)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / ストレス / 筋肥大 / 筋萎縮 / 筋細胞膜 |
Research Abstract |
骨格筋は可塑性に富んだ器官であり、外部環境に適応して構造的かつ機能的に変化する。骨格筋に対する負荷量の増大は筋肥大をもたらすが、この筋肥大に先立って筋細胞膜に損傷が生じると考えられている。したがって、外部環境に適応した骨格筋サイズの変化には筋細胞膜の重要性が示唆される。筋特異的タンパク質であるtripartite motif-containing 72(TRIM72)は筋細胞膜の再構築に重要な役割を持つことが示唆されている。しかしながら、骨格筋サイズの変化に伴うTRIM72の役割は明らかでない。 そこで、本研究では骨格筋サイズの制御機構を、骨格筋細胞膜再構築タンパク質TRIM72に着眼し、追究することを目的とする。 本研究は2年計画で実施され、本年度はその1年目に当たる。本年度の検討項目は、外部環境に適応した骨格筋肥大ならびに萎縮における、筋細胞膜再構築に作用する筋特異的タンパク質TRIM72の変化とした。実験対象には筋組織と筋細胞を用いた。筋組織は雄性マウスのヒラメ筋を用い、筋細胞はマウス骨格筋由来筋芽細胞C2C12を用いた。マウスを用いた実験では、共同筋切除(ヒラメ筋の共同筋である腓腹筋を切除し、ヒラメ筋に対する負荷量を増大させる)による骨格筋肥大モデルを作成し、肥大筋におけるTRIM72の増加をmRNAレベルで確認した。さらに、後肢懸垂による筋萎縮モデルを作成し、萎縮筋におけるTRIM72の減少をタンパク質ならびにmRNAレベルで確認した。また、培養骨格筋細胞の実験において細胞分化に伴うTRIM72 mRNAの増加が認められた。以上より、外部環境に適応した骨格筋肥大ならびに萎縮に伴い、TRIM72の発現が変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討項目は、外部環境に適応した骨格筋肥大ならびに萎縮における、筋細胞膜再構築に作用する筋特異的タンパク質tripartite motif-containing 72(TRIM72)の変化である。これまでの検討により、骨格筋肥大ならびに分化におけるTRIM72の増加をmRNAレベルで確認し、筋萎縮におけるTRIM72の減少をタンパク質ならびにmRNAレベルで確認した。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2年計画で実施され、平成24年度はその2年目の最終年度に当たる。本実験を実施するに当たり必要な設備・備品は現有のものを使用する。なお、平成24年度の計画に動物実験を含んでいるため、学内動物実験関連規程に基づき、豊橋創造大学生命倫理委員会の許可を得て、動物実験を計画し実施する。これまでの検討により、外部環境に適応した骨格筋肥大ならびに萎縮に伴い、筋細胞膜再構築に作用する筋細胞膜再構築タンパク質tripartite motif-containing 72(TRIM72)の発現が変化することが示唆されたものの、その分子機構は明らかでない。そこで本年度の検討項目は、肥大筋ならびに萎縮筋におけるTRIM72の発現に関連する因子、ならびに骨格筋サイズの変化におけるTRIM72の役割とする。 実験対象には筋組織と筋細胞を用いる。筋組織は雄性マウスのヒラメ筋を用いる。筋細胞はマウス骨格筋由来筋芽細胞C2C12を用いる。筋細胞に萎縮を引き起こす刺激(後肢懸垂)を負荷し、骨格筋萎縮ならびにTRIM72発現の減少を引き起こす。さらに、筋細胞に肥大を引き起こす刺激(共同筋切除)を負荷し、骨格筋肥大を引き起こし、TRIM72タンパク質の発現を評価する。また、TRIM72発現に関連する筋細胞膜タンパク質の発現量を測定する。TRIM72と骨格筋タンパク質の合成分解に作用するタンパク質の関係についても検討する。骨格筋サイズの変化におけるTRIM72の役割について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験を実施するに当たり必要な設備・備品(動物飼育関連設備・備品、細胞培養装置、電気泳動装置、ウェスタンブロッティング装置、蛍光顕微鏡ならびに画像撮影装置、リアルタイム-PCR他)は、すでに整備され使用可能な状況にあるため、現有のものを使用する。したがって、本研究費は主として実験動物の購入・飼育費および分析に必要な試薬など消耗品の購入に充てる。必要な試薬とは、ウェスタンブロッティングや免疫組織化学用の一次抗体および二次抗体、リアルタイム-PCR用のプライマーおよびRNA抽出・DNA合成試薬、一般試薬である。実験動物には、マウスの購入を計画している。また、細胞培養に関連して、培養骨格筋細胞(C2C12)、培養用炭酸ガス、液体窒素(保管用)および培養用プレートやピペットの購入を計画している。 研究成果の発表については、国内学会ならびに国際学会における発表を計画している。また、学会発表と前後して研究成果を逐次誌上発表する。そのため、成果発表のための国内旅費、国外旅費ならびに論文別刷代に本研究費を使用する予定である。
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[Journal Article] Absence of heat shock transcription factor 1 retards the regrowth of atrophied soleus muscle in mice2011
Author(s)
Yasuhara K, Ohno Y, Kojima A, Uehara K, Beppu M, Sugiura T, Fujimoto M, Nakai A, Ohira Y, Yoshioka T, Goto K
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Journal Title
Journal of Applied Physiology
Volume: 111
Pages: 1142-1149
DOI
Peer Reviewed
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