2012 Fiscal Year Research-status Report
随意的な立位姿勢制御の中枢過程へバイオフィードバック法がおよぼす影響
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23700649
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
前田 薫 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (00454687)
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Keywords | バイオフィードバック |
Research Abstract |
視覚性バイオフィードバックが60~70歳のヒトの随意的な立位姿勢制御時の脳活動に及ぼす影響を検討した。 被験者は年齢が60~70歳の範囲の9名(男性5名、女性4名)であった。前頭葉機能評価をFrontal Assessment Battery at bedside(FAB)を用いて実施した。その後、立位の被験者の前方にスクリーンを配置し、被験者の最前傾(EFL)および最後傾時(EBL)の側面像を投影した。被験者は、好みの速度にて、かつ反動を利用せずに、自身のリアルタイムの側面像をEFLとEBLの映像へ交互に重なるよう、前後傾運動を40往復行った。記録された電気生理学的指標は、脳波(Cz部位)と筋電図(体幹と下肢の筋)であった。1往復毎に、前後方向における足圧中心(COP)の前方ピークと後方ピークが同定し、それらの前1500msから2000ms間の区間の脳波と全波整流された筋電図波形が取り出され(データ節)、ピークの向き毎に加算平均された。5名の被験者では、眼球運動の脳波への混入が著しく、加算平均に用いられるデータ節数が10未満であった。そのため、他の4名(男性2名、女性2名)から得られた加算平均後波形を以降の分析に用いた。 いずれの被験者においても、FABの得点は17点以上であり、前頭葉機能には顕著な問題がないものと推察された。脳波の加算平均波形には、1名の被験者においてのみ、COPのピーク付近で陽性のピークが認められた。他の3名の脳波には、明らかなピークが認められなかった。 若年成人で得られた結果(平成23年度課題)とは異なり、60~70歳の被験者では、立位での最前傾および最後傾付近における脳波のピークが不明瞭であった。この要因を詳細に検討することで、フィードバック情報への注意に関する加齢の影響を検討することが可能であると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当初の計画を一部簡略化した。①被験者に課す試行条件、および②記録されたデータの分析手法である。これらは、被験者に与える精神・身体的ストレスを最小限にしつつ実験を遂行するために必要な措置であった。実際に、測定終了時における被験者の感想は、今回を超える時間や試行数は不可能だというものだった。実験計画の変更に時間を要したことが、研究遂行の遅れの原因のひとつであった。 被験者は、70~80歳の30名を予定していたが、60~70歳の9名となってしまった。この要因は、申請時に代表者が考えていた被験者募集の方法が不良であったことである。被験者の募集に長い期間を要した。 前年度の課題であった若年者での検討に関して、5名の被験者の追加を行った。その結果は、前年度の報告内容と同様であった。前年度課題の遅れを取り戻すことができなかったことも、今年度課題の遂行に遅れを来した要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、脳卒中の既往のある者を対象とする。そのため、医療機関に協力を求める必要が生じることが十分予想される。今年度の早期において、研究代表者が非常勤をしている医療・介護施設に依頼をし、円滑で安全な被験者募集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究は、脳卒中の既往のある者を対象とする。この被験者の募集および実験遂行にかかるリスク管理に経費をあてる。また、研究成果の発表にも取り組む。
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