2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700659
|
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
森岡 和仁 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (90551466)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 脳・神経 / 動物 / リハビリテーション / 細胞・組織 |
Research Abstract |
申請者は脊髄損傷後早期に発生する痙縮の増加によって運動機能の回復が障害されるという仮説を立脚したことより、当該年度はまず著明な痙縮を示す動物実験モデル(痙縮促進モデル)を作成し、痙縮の評価方法の確立を目指した。さらに比較解析を可能とする動物実験モデル(痙縮抑制モデル)の作成を試みた。まず痙縮促進モデルの作成にあたり、損傷後の歩行機能の回復を評価するため圧座損傷の重症度を軽症に設定し、個体間の重症度のばらつきを抑えるため神経損傷の血液バイオマーカーを用いて定量評価した。さらに後肢での荷重歩行が損傷後1週目までに回復した個体を選出し、解析対象について新たな基準を設けた。次に痙縮の発生を増加させるための手段(尾懸垂法)について条件検討した結果、損傷後早期より開始して骨・筋組織への影響が可逆的な期間だけ継続することとした。次に痙縮の発生を評価する方法を確立するため痙縮に伴う反射亢進に着目し、痙縮促進モデルについて行動学的解析・神経生理学的解析・組織学的解析により検証した。脊髄損傷後に発生する痙縮は水泳中に発生しやすいことが報告されており、作成した痙縮促進モデルにて試みたところ、水泳中に後肢が強直し下半身が屈曲する現象を認め、反射亢進との関与が行動学的に示唆された。さらに神経生理学的パラメーターとして後肢筋のホフマン反射を測定したところ、高い周波数の連続電気刺激であってもH波が減弱しにくい傾向を認め、反射亢進が神経生理学的に示唆された。また歩行中枢が存在するとされる腰膨大部を組織学的に解析した結果、反射経路おける運動ニューロンに質的変化を認め、反射亢進との関与が解剖学的に示唆された。以上の結果より、動物実験モデルの妥当性を検証し、評価方法を確立することができた。また痙縮抑制モデルの作成にあたり、痙縮の発生を抑制させるための手段(部分荷重歩行訓練)については詳細な条件検討を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
痙縮促進モデルの作成および妥当性の検証、痙縮の評価方法の確立については年度内に目的を達成した。しかし、神経生理学的解析の確立には電極の作成および測定技術の開発に難渋したため長期間を要した。また痙縮抑制モデルの作成にあたり、部分荷重歩行訓練による痙縮抑制効果が不安定であったため条件検討を継続する必要性が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
痙縮の発生メカニズムの解明にあたり、予定している発現遺伝子の網羅的解析はサンプルの選定により結果が大きく影響されるため、明らかな痙縮抑制効果を示す動物実験モデルの確立が必要であり、さらなる条件検討を予定している。確立が困難である場合には軽症の自然経過(尾懸垂なし)モデルに変更して痙縮促進モデルとの比較解析を行い、以後の解析に繋げる予定である。引き続きメカニズム解明および治療開発に繋がる知見の獲得を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用用途としては、計画に沿って発現遺伝子の網羅的解析・培養細胞を用いた生体外実験・実験動物を用いた生体内実験を行うために必要な消耗品の購入および故障した解析機器の修理・交換などを予定している。さらに成果発表および情報収集を目的とした国内外の学会への出席・論文発表の英文校正についても使用を予定している。
|
Research Products
(4 results)