2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700669
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
荒木 望 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10453151)
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Keywords | 筋電義手 / 表面筋電信号 / 関節角度推定 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は,表面筋電信号を代表とする生体信号から指の関節角度を推定することで自由度の高い制御を可能にする実用的な筋電義手を開発することである.この目的を達成するために,本研究では「1.表面筋電信号から指関節角度を高精度に推定する信号処理手法の確立」,および「2.推定された手指関節角度を再現するための実用的な筋電義手の構造提案と試作」を行った. 1.の指関節角度推定手法については,筋肉が収縮した際に筋電図に現れるスパイク状の電位の変化に着目し,このスパイクの発生頻度を筋電図の特徴量として指関節角度を推定する手法を提案した.特に最終年度である今年度は,スパイクの発生頻度の計算方法を見直すことで,従来よりも角度推定精度を向上させた手法を提案した.また,従来は表面筋電信号のみを用いて推定精度の検証を行ってきたが,今年度は針電極を用いてより深層部の筋電位を測定した信号である針筋電信号に対しても同じアルゴリズムを用いて指関節角度の推定実験を行い,提案手法が深層部の筋電位である針筋電信号に対しても適用可能であることを確認した.このことは,将来的に埋め込み型の電極を用いることで定常的に筋電義手を使用する患者を想定した場合に有効な手法となりうることを示唆している. 2.の実用的な筋電義手の構造提案と試作については,昨年度に1関節につきモータを1つ有するワイヤ駆動型の指型ロボット,およびこのロボットを駆動させる小型モータコントローラと生体アンプの試作を行った.今年度はこのロボットと提案した指関節角度推定手法を組み合わせた義手システムの動作実験を行い,健常者である被験者から取得した筋電から第3指(中指)の動きをリアルタイムで推定し,ロボットを推定角度に追従させて動作させることが可能であることを確認した.ロボットの構造は今後検討の余地があるが,システムとしては目標を達成できたと考える.
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