2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700673
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Research Institution | University of Tokyo Health Sciences |
Principal Investigator |
内田 学 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (80531475)
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Keywords | 誤嚥 / 嚥下音周波数解析 / 食道機能 / 呼吸機能 |
Research Abstract |
平成24年度は臨床データを中心に収集し、誤嚥患者の特性が把握できた。現段階では誤嚥者のデータ測定は35例まで行えている。ここまでのデータと、昨年実施したコントロール群としての健常データと比較検討を行ってきたが、嚥下時の周波数帯域(嚥下時の咽頭音声解析)、および、超音波画像診断装置を用いた食道機能の特徴(食道移動距離、Doppler、RI)などが誤嚥者では特異的なパターンを示す事が分かってきた。今回の採択課題でもある誤嚥のスクリーニングを行う上でのカットオフ値を決定するために臨床データを収集し続けている。様々な基礎疾患の誤嚥者を測定していく中で、食事中の呼吸障害を訴える患者と遭遇し、簡易的な呼吸機能測定(SpO2、ETCO2)を測定すると嚥下機能の問題ではなく呼吸障害が起こっている事による摂食機能の障害に直面した。そこで、呼吸機能との関連性に着目し、嚥下機能と呼吸器との関連性についても補足的に検討を行っている。この作業を通して、一般的な基礎疾患を持たない誤嚥者と脳血管障害、脊髄小脳変性症などの構築学的な変性の生じる誤嚥者との間では誤嚥が発生するパターンが変容している事が傾向として明確になってきた。今回の採択課題は誤嚥のスクリーニングを開発することであるが、この呼吸機能との関連性が見えてきた事で、VFやVEなどの単発的な検査で判別できなかった誤嚥の感度、特異度の精度をより高いものにする事ができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究計画に沿って研究は進行中であるが、当初は測定項目に入っていなかった呼吸機能の測定を追加した事で若干の時間的制約はあったものの、成果としては順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、誤嚥を特定するための手法として考案した嚥下音声に対する周波数解析と、嚥下時食道機能評価をあわせた測定方法の基準値を作成するために必要なN数を更に追加する予定である。現在は35例まで測定が終了しているが、残り17例を測定し合計で52例を予定している。6月までに測定を終了させ全体的な解析を実施し、最終的な成果物として論文を作成し専門機関誌への投稿を予定している。 嚥下の機能評価を音声データ周波数解析と食道機能評価で行う誤嚥のスクリーニングで明確にならない患者のスクリーニングとしても、食事中の呼吸機能を測定する事で明確になる新たな見解ができている事から、今後は摂食時間全般にわたる時系列の呼吸機能評価、嚥下機能測定の解析も進める予定である。この測定には多くの時間が必要であり、昨年実施してきた基礎疾患のない誤嚥者、脳血管障害患者、脊髄小脳変性症などの疾患特異性を判別するまでの作業が限界であり、基準値の設定などは次期課題としたい。 成果物の学術発表としては、日本呼吸ケアリハビリテーション学会、日本病態生理学会、日本理学療法学術大会、理学療法科学学会などで発表を行い、それぞれの機関誌に学術論文を投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の予算は、測定に向かう旅費、宿泊費、患者への謝礼などの費用と、消耗品(USBメモリー、webカメラ、ノーズフィルター、超音波画像診断装置用ゲル)、学会参加のための費用(旅費、学会参加費、宿泊費)、論文審査料などの使用を予定している。
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