2011 Fiscal Year Research-status Report
全身振動刺激を用いた運動介入が転倒予防時の踏み出し動作に与える効果の検証
Project/Area Number |
23700674
|
Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
越智 亮 星城大学, リハビリテーション学部, 講師 (60410891)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 転倒 / ステップ / 全身振動刺激 / 予防 / トレーニング |
Research Abstract |
つまずき等が生じた後,転倒を予防するためには下肢を素早く前に踏み出すステップ動作が必要となる.高齢者では,転倒回避ステップ動作の足部着地後,一歩で踏みとどまれず,複数回のステップが出現することがある.複数回ステップは単一ステップに比べ,着地後に不安定になり易く,転倒につながる恐れがある.複数回ステップが出現する要因に,下肢を踏み出す速度の減少,一歩長の減少,足底感覚の低下などがある.近年,全身振動刺激トレーニング(Whole body vibration;以下,WBV)の運動機能改善効果が国内外で多く報告されており,WBVは足底に機械刺激を与えること,筋収縮速度の改善に有効であるとされている.本研究課題では,高齢者がWBVを行うことで,ステップの機能改善やステップ動作パターンを変更することができるのではないかと考え,65歳以上の高齢者を対象として次の1),2)について検証した.1)単一ステップ者と複数回ステップ者のステップ動作パターンの違い,2)WBVが運動機能と足底感覚感度に与える影響.1)高齢者19名を対象に,背部を牽引した状態で身体を前傾させておき,牽引が離れた瞬間から下肢を一歩前に踏み出すステップ動作において,単一ステップ者と複数回ステップ者の運動学的変数を比較した.結果,単一ステップ者と比較し,複数回ステップ者では,ステップ時の下肢を踏み出す速度が遅いこと,一歩長が短いこと,踏み出し脚膝伸展筋の筋収縮速度が遅いことを明らかにした.足底二点識別覚に差はなかった.2)高齢者12名を対象に,3分間/日,2日/週,8週間のWBVの前後に運動機能と足底二点識別覚を測定した.結果,10m歩行時間,TUGテスト,片脚立位バランス,膝伸展筋力などの評価項目が改善した.しかし,足底二点識別覚に変化はみられなかった.現在,WBVが転倒回避ステップ動作に与える影響について調査している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度中に全てのデータ収集を終える予定であったが,予備実験において研究代表者が考案したトレーニングプロトコルを高齢者12名に行った結果,思うような運動機能改善効果が得られなかった.そのため,再度,最適なトレーニングプロトコルを考案するとともに,評価のプライマリーエンドポイントを再考したために時間がかかった.現在,トレーニングプロトコルを新たに考案し,既にトレーニング前の運動機能評価,転倒回避動作の評価を終え,トレーニング期間(トレーニングは3ヶ月間×2日程,計6ヶ月間)に入っている.今年度前半にデータ収集を終え,データ処理および成果報告資料,論文作成に着手する.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度に記入した通り,研究計画の段階でトレーニングプロトコルの考案にやや不備があったように思われる.そこで,リハビリテーション科学・工学分野において高齢者の転倒予防における取り組みが盛んに行われている京都大学大学院医学系研究科人間科学系専攻の研究者と検討を重ね,最適なトレーニングプロトコルと研究方法を考案するに至った.今後もデータ解析と研究成果報告の作成において同研究者の協力を得る.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に請求した費目別内訳のうち,必要となる物品費(全て消耗品)のほとんどは23年度中に購入済みである.そのため,消耗品費をデータ研究成果発表のための旅費および成果発表の英文校閲費に流用を考えている.人件費・謝金は,現在データ計測中の被験者に支払い予定のため,概ね24年度使用計画に準ずる.
|
Research Products
(2 results)