2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体センサフュージョンに基づく高齢者起立モデルの設計論
Project/Area Number |
23700676
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中後 大輔 関西学院大学, 理工学部, 講師 (90401322)
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Keywords | 起立動作支援 / 筋肉協同発揮 |
Research Abstract |
本研究は,高齢者個々人に適する起立支援のため,複数の生体情報および分散協調系の筋肉の共同発揮機能を統合して起立動作モデルの設計論を確立することを目的とする.本目的を実現するために,高齢者の各種生体情報を入力として,本研究で構築する高齢者の起立動作モデルから生体の低下部位を特定し,その情報を基に起立支援法を決定することを行う. 昨年度の研究にて,筋肉の弱り方を表すパラメータとして以下の2パラメータ:1.最大駆動力…筋力そのものが低下した状態を再現,2.駆動信号の時間遅れ…反射神経,運動神経が低下した状態を再現,では高齢者の起立動作を説明することが出来なかった. そこで本年度はまず,高齢者の動作を躍度を最小とする軌道としてモデル化し,身体力学的な状態を模倣する人間モデルに入力として与えることにより,起立動作に必要な各関節(膝関節等)を動かす筋肉の働きが起立動作に及ぼす影響を身体力学的に解析した(成果①).続いて,起立動作中の各筋肉(広背筋,ひふく筋,大腿直筋,腹直筋,僧帽筋,大胸筋)より観測された筋電波形に対してシナジー解析を行い,立ち上がり動作を構成するいくつかの巧みな動作(重心を足裏前方に移動させる動作,体幹を持ち上げる動作,等)について,その動作を発生させる筋肉の共同発揮現象を,各々動作別に明らかにした(成果②). さらに成果①と成果②を組み合わせることで,高齢者個々人について起立動作時のどのタイミングで機器による積極的な支援を行い,それ以外の時には高齢者の自主的な動作に任せることが,高齢者の残像能力を用いることになるのか,検討を行った.さらにその結果を開発中の起立支援装置に適用し,被験者実験を通じてその有効性も確認した(成果③). 現在,成果③の有効性は確認されているが,最適な条件であるかは議論を行っていない.今後は,最大限高齢者の残存能力を用いるための方策の検討が望まれる.
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