2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700682
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 はま 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00512120)
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Keywords | 運動発達 / 乳児 |
Research Abstract |
生後4ヶ月以下の乳児が自己生成する身体運動情報に関して、H24年度までに右腕・左腕・右脚・左脚の運動速度を別々に計算して、特定の腕(おもちゃと紐でつながった腕)の運動が増加するかどうかという「量の変化」を検討してきた。H25年度は、それぞれの腕や脚が同じタイミングで動くのか、違うタイミングで動くのかといった「質の変化」に注目し、「四肢の運動の協調性」の側面を示す新しい指標を抽出した。計測した時の日齢によって90-99日、100-109日、110-119日、120-129日という4つのグループに分けて、おもちゃで遊ぶ前の運動の特徴とおもちゃで遊んでいる最中の運動の特徴を比べたところ、日齢の小さい2つのグループ(日齢100-109日)では、おもちゃで遊んでいるときに運動の量が増えたのに対して、運動のパターンには違いがなく、生後3ヶ月前半までの乳児では、新しいおもちゃで遊ぶ際に、腕や脚をたくさん動かすようになるが、脚に比べて腕を特に動かすというような傾向は見られないことが示された。一方、日齢の大きい2つのグループ(日齢110-129日)では、おもちゃで遊び始めてすぐ(最初の2分間)に運動パターンの変化が見られ、その後(続く2分間)に運動量が増えるということが示され、生後3ヶ月後半以降の赤ちゃんでは、おもちゃで遊び始めてすぐに、おもちゃが魅力的に動くような動き、すなわち紐のついた腕だけを動かすという運動パターンを獲得し、その後に運動量を増加させるということが明らかになった。運動の速度(量)と運動パターン(質)を別々に評価する指標を取り入れたことにより、運動の発達的変化をより詳細にとらえることが可能になった。本研究は、乳児の四肢運動をもとにして、外界からの音響情報のフィードバックシステムを開発するための、基本的な運動特性あるいは運動情報を抽出する基盤を構築したものと位置づけられる。
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Research Products
(2 results)