2011 Fiscal Year Research-status Report
体温調節機構における視床下部熱産生領域の神経伝達物質の役割解明
Project/Area Number |
23700684
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石渡 貴之 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (40435235)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 体温調節機構 / 神経伝達物質 / 視床下部背内側核 |
Research Abstract |
今年度は視床下部背内側核(DMH)の体温調節機構における役割,およびその調節に関与する神経伝達物質を明らかにすることを目的とした.実験には体重240~260gの雄Wistarラット6匹を使用した.動物は人工気候装置を用いて12h:12hの明暗サイクル(7:00-19:00明期),環境温23℃,湿度50%で飼育した.実験中以外の時間は,水,餌の摂取を自由とした.本研究は,立教大学ライフサイエンスに係る研究・実験計画(承認番号:LS11017A)に則り行った.既存のシステムであるマイクロダイアリシス(脳内微量透析)法とテレメトリー(無線式小型体温計)法の組み合わせに加え,液体クロマトグラフィー法によりDMHのセロトニン(5-HT),ドーパミン(DA),ノルエピネフリン(NE)放出量の計測を行った.効果器系の反応として心拍数(熱産生反応の指標)と尾部皮膚温(熱放散反応の指標)の測定を同時に行った. 寒冷暴露(5℃)によりラットの体温は約1.0℃上昇した.体温調節反応を見ると熱放散の指標である尾部皮膚温は低下し,熱産生の指標である心拍数は増加した.このことより,寒冷暴露中には積極的な熱産生活動が行われていることが分かる.この体温調節反応が活発になっている時に5-HT, DAは変化しなかったが,NEがやや上昇していることが観察された.また,DMHにナトリウムチャネルブロッカーであるテトロドトキシン(TTX)を灌流し,DMH の神経活動を抑制した時の体温調節反応を計測した. TTXの灌流により,23℃の環境温下では体温調節反応に変化は見られなかったが,5℃の寒冷環境下では有意な体温低下が観察された. 以上の結果より,体温調節機構におけるDMHの役割は寒冷環境下における熱産生であり,その調節に関与する神経伝達物質はNEである可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的としていた視床下部背内側核(DMH)の体温調節機構における役割が寒冷環境下における熱産生であり,その調節に関与する神経伝達物質がNEである可能性を明らかに出来たため.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は後視床下部(PH)に注目し,前年度と同様な手法を用いて, PHの神経伝達物質の役割及び体温調節機構における役割を明確にする.また,最終的に体温調節機構におけるDMHとPHの役割を比較する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(1.341円)については,データ印刷用のプリンタインク代とする予定である.その他の研究費については実験に必要な物品購入と学会発表用の旅費に使用する予定である.
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