2012 Fiscal Year Annual Research Report
体温調節機構における視床下部熱産生領域の神経伝達物質の役割解明
Project/Area Number |
23700684
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石渡 貴之 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (40435235)
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Keywords | 体温調節機構 / 神経伝達物質 / 後視床下部 |
Research Abstract |
今年度は後視床下部(PH)に着目し,体温調節機構における役割及びその調節に関与する神経伝達物質を明らかにすることを目的とした.実験には体重240~260gの雄Wistarラット6匹を使用した.動物は人工気候装置を用いて12h:12hの明暗サイクル(7:00-19:00明期),環境温23℃,湿度50%で飼育した.実験中以外の時間は水,餌の摂取を自由とした.本研究は立教大学ライフサイエンスに係る研究・実験計画(承認番号:LS11017A)に則り行った.既存のシステムであるマイクロダイアリシス(脳内微量透析)法とテレメトリー(無線式小型体温計)法の組み合わせに加え,液体クロマトグラフィー法によりPHのセロトニン(5-HT),ドーパミン (DA),ノルエピネフリン(NE)放出量の計測を行った.効果器系の反応として心拍数(熱産生反応の指標)と尾部皮膚温(熱放散反応の指標)の測定を同時に行った. 寒冷暴露(5℃)によりラットの体温は約0.8℃上昇した.体温調節反応を見ると熱放散の指標である尾部皮膚温は低下し,熱産生の指標である心拍数は増加した.このことより,寒冷暴露中には積極的な熱産生活動が行われていることが分かる.この体温調節反応が活発になっている時に5-HT, NEは変化しなかったが,DA上昇していることが観察された.また,PHにナトリウムチャネルブロッカーであるテトロドトキシン(TTX)を灌流し,PHの神経活動を抑制した時の体温調節反応を計測した.TTXの灌流により,23℃の環境温下では体温調節反応に変化は見られなかったが,5℃の寒冷環境下では心拍数の低下を伴う有意な体温低下が観察された.以上の結果より,体温調節機構におけるPHの役割は寒冷環境下における熱産生(ふるえ産熱)であり,その調節に関与する神経伝達物質はDAである可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)