2011 Fiscal Year Research-status Report
浸水が体性感覚野および運動関連領野の興奮性に及ぼす影響
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23700687
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60544393)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 浸水 / 体性感覚誘発電位 / 求心性抑制 / 皮質内抑制 |
Research Abstract |
本研究は,安静時において浸水が体性感覚野および運動野の活動へ及ぼす影響を明らかにすることで,浸水による体性感覚情報が運動学習の促進に貢献する可能性を検証することを目的に実施した.実験1では,成人10名を被験者とし,浸水および陸上環境において体性感覚情報の流入量を評価できる体性感覚誘発電位(SEP)を記録し,水の触覚・圧覚刺激によって体性感覚野の興奮性が変化するかどうかを検証した.その結果,P25およびP45といったSEPの成分が浸水条件において減少することが明らかとなった.これは,腋下浸水(30℃)によって体性感覚情報の処理過程に変化が生じることを示唆している.P25の減衰については,浸水による一次体性感覚野の興奮性が高まったことによって電気刺激に対するgatingが生じた結果であると考えられる.P45の減衰については,電流発生源が多岐に渡っており,その特定は難しいものの,浸水が一次体性感覚野,頭頂連合野,補足運動野の興奮性の変化に関与しているものと考えられる.実験2では,成人10名を被験者とし,浸水による求心性入力が短間隔および長間隔の求心性抑制ならびに皮質内抑制・促通に及ぼす影響を明らかにし,浸水による一次運動野の興奮性に及ぼす影響を検証した.その結果,浸水環境において,短間隔および長間隔の求心性抑制が減少することが明らかとなった.この結果は,浸水による求心性入力が感覚関連領野だけでなく,運動関連領野にも影響を及ぼしていることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,当初より2つの実験を予定しており,その全てを完了した.また,実験1の結果については,国際学術雑誌へ掲載されており,実験2の内容についても現在執筆中で,国際学術雑誌への投稿を予定している.従って,研究の達成度としては,おおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行った2つの実験において,浸水がヒトの感覚関連領野および運動関連領野に対して一定の影響を及ぼすことが明らかとなった.平成24年度は,その皮質での活動が実際の運動に対してどのような影響を及ぼすかについての実験を進めていく.具体的には,浸水および非浸水環境において,運動準備電位を測定し,浸水による体性感覚情報処理の変化が実際の運動に影響を与えるかどうかを検証する.赤外線センサおよび脳波計との同期装置を購入後,実験を開始し,8月に実験終了予定である.本年度の実験結果の公表については,国際学術雑誌および国際学会での発表を予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施する実験3では,運動準備電位を測定するため,赤外線センサおよび脳波計との同期装置が必要となるため,購入を予定している.また,17th European College of Sport Science Conferenceにおいて,実験2の結果を発表する予定であり,国外旅費として使用予定である.さらに,日本体力医学会において実験3の結果の一部を発表する予定であり,国内旅費として使用予定である.
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