2012 Fiscal Year Annual Research Report
浸水が体性感覚野および運動関連領野の興奮性に及ぼす影響
Project/Area Number |
23700687
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60544393)
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Keywords | 浸水環境 / 体性感覚野 / 一次運動野 / 感覚運動連関 |
Research Abstract |
運動学習には,体性感覚情報(皮膚感覚や筋感覚)と運動関連情報を巧みに処理することが重要である.申請者は浸水環境を運動学習環境として活用することを研究全体の目標としており,本研究では,安静時および随意運動遂行時において浸水が体性感覚野および運動関連領野の活動へ及ぼす影響を明らかにすることで,浸水による体性感覚情報が運動学習の促進に貢献する可能性を検証した. 平成23年度には,浸水環境における体性感覚野の活動について,体性感覚誘発電位を用いて検証した.その結果,腋下浸水によって生じる体性感覚入力が,P3およびPzにおけるP25成分,P3,Pz,C3,CzにおけるP45成分の振幅を減衰させることが明らかとなった.このことは,浸水が体性感覚情報処理を変化させることを示唆している. 上述の結果をもとに,平成24年度には,浸水による感覚運動連関および運動野への影響を検証した.その結果,浸水前後と比較して浸水中に短潜時求心性抑制および長潜時求心性抑制が減少することが明らかとなった.一方,皮質脊髄路興奮性,短間隔皮質内抑制および皮質内促通には変化が認められなかった.このことは,浸水による体性感覚入力が,一次体性感覚野や後頭頂葉といった感覚関連領野を介した一次運動野に対する抑制機能を減弱させることを示している. これらの結果から,浸水による体性感覚入力は,その他の求心性入力の処理を変化させ,感覚運動連関の興奮性を高めることが明らかとなった.このことは,浸水環境における運動学習やリハビリテーションを実施する際の基礎的知見となると考えられる.
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Research Products
(7 results)