2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700688
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
栗原 俊之 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助手 (10454076)
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Keywords | 骨格筋 / 筋収縮 / 筋束動態 / 生体計測 / 拡散係数 |
Research Abstract |
ヒト骨格筋力発揮時の筋束動態を定量することを目的とし、MR装置と超音波装置を併用し、拡散テンソル画像法を用いた筋線維追跡法の測定および超音波法による筋腱動態の実測を行い、得られた知見を統合した。 ヒト骨格筋の力発揮時における水分子の拡散状態は、MR拡散強調画像から算出される拡散係数(ADC)で評価することができる。本研究では、健常成人男性7名に対し、MR装置内で使用できる非磁性体筋力測定装置を使用し、等尺性足背屈収縮時のADC値を求めた。強度20%MVC(Maximal Voluntary Contraction:随意最大収縮)時にはADC値は変化せず、強度50%MVC時にはADC値が有意に増加した。ADC値の増加には収縮熱の発生による影響もあるが、収縮に伴う筋束の羽状角(腱膜と筋束のなす角度)の変化にも対応していると考えられる。超音波法による収縮時の前脛骨筋の筋束動態の観測によって、力発揮強度の増加に伴い、筋束は短縮し羽状角が増大するとともに、腱膜の長軸方向へ筋束が移動することが分かっている。そこで、前脛骨筋の腱膜に対する平行方向と垂直方向に拡散係数を分けて計算したところ、水平方向に比べ垂直方向の拡散係数の変化が大きいことが明らかとなった。このことは、収縮に伴う筋束の移動方向と一致し、拡散画像から収縮時の筋束動態を定量出来る可能性を示唆している。一方で、血液流による影響も無視できないため、追加実験としてMR室外にて等尺性足背屈収縮時の近赤外分光法による運動前後の筋血流量を計測した。50%MVC時には筋内圧の上昇に伴う筋血流の減少が認められ、力発揮中の拡散係数に影響を及ぼさなかったと考えられる。
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