2011 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールのボールを持たない動きに関する映像を用いた理解度テストの開発
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23700693
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鬼澤 陽子 群馬大学, 教育学部, 講師 (80511732)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ボールを持たない動き / 体育授業 / バスケットボール / 理解度 / テスト開発 |
Research Abstract |
本研究は,国内外における近年のボールゲーム授業変革の潮流を受け,また新学習指導要領で体育の学習内容として明示されることとなった「知識」の評価に寄与するものとして,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを作成することを目的とする. そこで,研究期間1年目(平成23年度)は,1.バスケットボールにおけるボールを持たないときの動きの原則を設定し,その上でゲーム中に生じると考えられる複数の状況場面を検討するとともに,2.ゲーム状況の撮影方法および編集方法について検討した. その結果,1.については,先行研究の収集・検討を重ね,「ボールを持たないときの動きの意図」「スペースの大きさ」「動きの方向」をキーワードに,ボールを持たないときの動きのパターンを作成することができた.その上で,ゲーム中に生じると考えられる複数のゲーム状況場面(例えば,「パスを出した後の動き」「ボール保持者の動きに合わせる動き」)を作成したことにより,テスト映像となるゲーム状況が確定できた.また,2.については,ゲームの臨場感を創出したテストにするために,特定のプレーヤーを捉えるのではなく,複数プレーヤー間の動きの連携も収録する必要があることから,有識者とディスカッションを重ね,体育授業研究やバスケットボール研究に携わる専門家に対するヒアリング調査の実施を通して,「ボールを持たないときの動き」理解度を測定できる撮影方法および編集方法について方向性を決めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを作成することであり,なかでも研究期間1年目(平成23年度)当初の研究計画は,1. テスト映像となるゲーム状況の作成にあたり,ボールを持たないときの動きの原則を設定し,その上で複数のゲーム状況場面を作成すること,および2.ゲーム状況の撮影方法および編集方法について検討することであった. この研究計画と現在までの進捗状況を照らしあわせると,1.については,ボールを持たないときの動きのパターンを抽出できたことと,ゲーム中に生じると考えられる複数のゲーム状況場面を作成できたことは評価できる.今後の課題として,作成したゲーム状況の内容的妥当性を確保するために,複数のバスケットボール専門家によって,合議を持ちながらゲーム状況場面を確定する手続きをしなければならない.2.については,先行事例によると,戦術的な理解度を測定しようとの試みはみられるものの,テスト作成にあたっての手続きが明示されておらず,テスト法の紹介という段階にとどまっているのが現状である.そこで,有識者とディスカッションを重ね,ゲームの臨場感を創出したテストにするための撮影方法や編集方法について探索しつつ,ゲーム状況の撮影方法および編集方法についての方向性が確定できたことは評価できる. 以上のことから,現在までの達成度は,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間2年目(平成24年度)は,予備的なテスト画像を作成した上で,本画像を撮影し,テスト映像を作成する.具体的には,1.作成したゲーム状況の内容的妥当性を確保するための手続きを得て,ゲーム状況場面を確定する.2.ゲーム状況の撮影方法の確定に向けて,実際にコート上にプレーヤーを配置し,ビデオカメラの位置・角度・高さ等を含めて検討しながら,予備的なテスト画像を作成する.その際,撮影シーンごとにモニターで確認しながら,プレーヤーの動きやそのタイミング,スペースの大きさ,プレーヤーの配置やカメラワーク等を確認する.3.ゲームの臨場感を創出したテストを目指すため,予備的な画像の作成を通して修正点を洗い出し,それらを改善するため有識者とのディスカッションによって撮影方法に修正を加えた後,本画像を撮影する.その画像については,体育授業研究やバスケットボール研究に携わる専門家に対するヒアリング調査を実施する.4.本画像をノンリニア編集機および映像編集ソフトによって加工を施し,テスト映像を作成する. それらを踏まえ3年目(平成25年度)では,理解度テストを完成させる.具体的には,1.テスト映像の提示方法を含めたテストの行い方や回答方法等を確定し,理解テストを完成させる.その上で,本テストをバスケットボール経験者およびバスケットボール未経験者を対象に実施し,信頼性の検定および妥当性について検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費の使用にあたっては,概ね当初の計画通りであり,うち次年度に使用する予定の研究費は11,452円である. 研究期間2年目(平成24年度)は,予備的なテスト画像を作成した上で本画像を撮影し,理解度テストを作成する予定であり,次の使用計画である.1.主要設備:撮影した映像をデスクトップでデジタル画像として取り込み,その画像をノンリニア編集機および映像編集ソフトによって加工する.回答方法はマークシート形式にする.2.謝金:予備的な画像を通して明らかになった問題点の改善に向けて,ゲーム状況の撮影,編集方法等について有識者とディスカッションをする.また,撮影にあたり,バスケットボール部選手およびコーチに協力を得て,意図したゲーム状況をコート上に再現する.3.旅費:英国のTeaching Games for Understanding学会大会及びthe International Convention on Science, Education and Medicine in Sport (ICSEMIS)学会大会への参加を通して情報を収集するとともに,本研究についての情報交換を行う. それらを踏まえ3年目(平成25年度)では,理解度テストを完成させ,テストの信頼性および妥当性を検討する予定である.1.主要設備:回答方法は,マークシートとし,マークシートの読み取りについては,OMR機器ドライバーソフトを用いて行う.2.旅費:研究の成果を口頭および紙面上にて発表する.
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