2012 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールのボールを持たない動きに関する映像を用いた理解度テストの開発
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23700693
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鬼澤 陽子 群馬大学, 教育学部, 講師 (80511732)
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Keywords | 体育授業 / ボールを持たないときの動き / 理解度 / 評価法 |
Research Abstract |
新学習指導要領では,ボールゲームの技能の内容が「ボール・用具操作」と「ボールを持たないときの動き」とに初めて整理され,かつ体育の学習内容として新たに知識が明示されることとなった.これらの評価に寄与するものとして,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを作成することを目的とする. 研究期間2年目(平成24年度)は,1.状況判断場面に至るまでのゲームの経過の組み立て,2.予備的なテスト画像の作成,3.理解度テスト作成に向けて,予備的なテスト画像,撮影方法等についてヒアリング調査を行った. その結果,1.については,実際のゲーム場面に限りなく近似させた状況判断テストとするために,ゲーム中の単一静止場面ではなく,状況判断場面に至るまでのゲームの経過が重要であると考え,ゲーム経過の組み立てについて作成した.そして,作成したゲーム状況の内容的妥当性を確保するために,バスケットボール専門家によって,合議を持ちながらゲーム経過の組み立てを確定した.また,2.については,ゲームの臨場感を創出したテストにするために,複数プレーヤー間の動きの連携も含めて収録できるように,テスト画像を収録した.そして,撮影した各ゲーム映像が設定した「場面」の条件を満足しているか否かを検討し,(1)撮影する位置や撮影するカメラの位置・高さ・角度等の撮影方法,(2)プレーヤーの動きのスピード,プレーヤーの動きのタイミング等についての検討をした.3.理解度テスト作成に向けて,体育授業研究やバスケットボール研究に携わる専門家に対してヒアリング調査を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを作成することであり,なかでも研究期間1年目(平成23年度)は,ボールを持たないときの動きの原則を設定した上で,ゲーム中に生じる判断場面の確定,およびゲーム状況の撮影方法および編集方法についての情報を収集した.それを受けて,研究期間2年目(平成24年度)は,1状況判断場面に至るまでのゲーム経過の組み立て,2.予備的なテスト画像の作成,3.理解度テスト作成に向けて,ヒアリング調査を行った. この研究計画と現在までの進捗状況を照らしあわせると,1.については,実際のゲーム場面に限りなく近似させたテストにするために,ゲーム中の単一静止場面に至るまでのゲーム経過を確定できたことは評価できる.2.については,先行事例によると,戦術的な理解度を測定しようとの試みはみられるものの,テスト作成にあたっての手続きが明示されていないため,実際に撮影をすると課題が見られたが,修正点を洗い出し,それらを改善するため有識者とのディスカッションによってよりよい方法を見いだせたことは評価できる.3.については,国内の研究者に加えて,英国のTeaching Games for Understanding学会大会及びthe International Convention on Science, Education and Medicine in Sport (ICSEMIS)学会大会への参加を通して本研究についての情報交換を行うことができた. 以上のことから,現在までの達成度は,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間3年目(平成25年度)は,本画像を撮影し,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを完成させる.具体的には,1.研究期間2年目の予備的なテスト画像の作成にあたっての課題を修正した上で,本画像の撮影を行う.本画像の撮影にあたり,1シーンごとにモニターで確認しながら,プレーヤーの動きやそのタイミング,スペースの大きさ,プレーヤーの配置やカメラワーク等を確認しながら行う.撮影にあたっては,バスケットボール部選手およびコーチに協力をしてもらい,意図したゲーム状況をコート上に再現する.撮影したテスト画像は,バスケットボール研究に携わる専門家とともに各ゲーム映像が設定した「場面」の条件を満足しているか否かを検討し.必要に応じて撮り直しを行う.2.撮影した本画像については,有識者から専門的な知識の提供を受けてデジタル加工の技術を用いる.そして,テスト画像を完成させる.3.テストの行い方を検討し,作成する.具体的には,(1)テスト画像について:映像の提示順序,再生回数・再生時間・再生スピード等,(2)回答方法について:プレー選択肢・記述方法・回答時間等,(3)テストの進め方について:被験者がより理解しやすいようにテストの進め方の解説および練習問題の作成,について検討し,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを完成させる. その上で,本テストをバスケットボール経験者およびバスケットボール未経験者を対象に実施し,信頼性の検定および妥当性について検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究期間2年目(平成24年度)の研究費の使用にあたっては,概ね当初の計画通りであり,うち次年度に使用する予定の研究費は185.298円である. 研究期間3年目(平成25年度)は,本画像を撮影し,理解度テストを完成させる予定であり,以下の使用計画である. 1.主要設備:撮影した映像をデスクトップでデジタル画像として取り込み,その画像をノンリニア編集機および映像編集ソフトによって加工する.回答用紙方法については,マークシートを作成し,OMR機器ドライバーソフトを用いて行えるようにする.2.謝金:予備的な画像を通して明らかになった問題点の改善に向けて,有識者から専門的な知識の提供を受けてゲーム状況の撮影および映像の編集等を行う.なお,ゲーム映像の撮影にあたり,バスケットボール部選手およびコーチに協力を得て,意図したゲーム状況をコート上に再現する.3.旅費:理解度テストを完成させるにあたり,体育授業研究やバスケットボール研究に携わる専門家に対してヒアリング調査を行うとともに,理解度テスト作成にあたっての研究成果を学会等で発表する. これらを通して,バスケットボールのオフェンスプレーヤーの「ボールを持たないときの動き」に関する映像を用いた理解度テストを完成させる予定である.
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