2013 Fiscal Year Research-status Report
実践的指導力を育む大学授業と教育実習の連関ー運動を見る力と指導言語に着目してー
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23700694
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
七澤 朱音 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10513004)
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Keywords | 実践的指導力 / 指導言語 / 模擬授業 / 教育実習 |
Research Abstract |
本研究は、将来体育科・保健体育科の教職に就く大学生が、在学中に実践的な力量を身につけるための模擬授業の手法とその成果の検証を継続検討し、模擬授業を行ったことによる指導言語の変容を教育実習中の教師行動と記述記録の分析から明らかにすることを目的としている。 平成25年度の日本体育学会第64回大会(8月30日発表)では、「実践的指導力を育む大学授業と教育実習の連関(2) 運動を観る力と指導言語に着目して」と題して口頭発表を行った。ここでは、平成24年度後期実施の「保健体育科教育法II」(受講者82名)の模擬授業実施前後3時間分の授業記録(文字データ)を分析した。計594文の自由記述をIBMのText Analytics for Surveysを用いて解析した。キーワード抽出を行った結果、器械運動の技を自ら実体験をしたことで、生徒の心理的不安を疑似体験できたことやそれを取り除く下位教材の重要性に気がつく記述が増加していくことがわかった。また、感性分析の結果、「実際」と「生徒」など共起する単語が増え、知識が徐々に複合的になっていく様子が読み取れた。 同年の日本スポーツ教育学会第33回学会大会(10月19日発表)では、「Relationship between university courses to develop practical teaching skills and teaching practice: partIII」と題して、英語による口頭発表を行った。ここでは、模擬授業で「ボール運動」を行った平成21年の実習生2名と、「器械運動」を行った平成24年の実習生2名(ともに無作為抽出)の、「器械運動」の授業における指導言語を比較分析した。運動学習場面におけるフィードバック行動を分析した結果、平成24年度の実習生の方が、指導時により具体的な言葉を用いている様子が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学のカリキュラムにおいて、教育実習に関連する授業を行うことの重要性を提案することが本研究の目的でもある。そのため、昨年度行われた二つの学会における口頭発表で、模擬授業前後の学生達の感想がより実態に即したものになっている様子や、平成21年度と24年度の実習生の比較研究を行ったことは、当初の計画に合致する結果だと考えている。大学の授業「ボール運動」では、新たな手法で授業を振り返ることに挑戦することができた。また、「保健体育科教育法II」では、体育施設の改修工事もあり場所の確保が難しい中、教育実習を行う附属中学校で実際の機材・器具を使って模擬授業を展開することができた。 以上の理由により、授業の実施状況もおおむね順調と評価した。しかし、研究をまとめ、論文執筆を行うところまで到達していないため、(1)ではなく(2)のおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度前期の「ボール運動」では、昨年度に習得したText Analythicsの分析方法を用いて、受講生達の模擬授業を受けた感想を分析していく。また、模擬授業の実施方法についても改良を加えていく。 教育実習も同様に分析を続け、大学のカリキュラムとの連関の方法を模索し続けていく。 後期の「保健体育科教育法II」では、模擬授業を行うグループを小人数にし、より活発な意見交換ができるように改良を加えていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者は、2011年9月~2012年3月に産休・育休を取得し、2012年4月に職場復帰した。この間は研究を継続することが困難であったため、当初計画していた段階まで研究を遂行するために、研究期間の延長申請を行った。許可が下りたため、2014年度は、過去に毎年学会で発表してきた研究をまとめ、最終論文を執筆・投稿することに充てたいと考えている。 2014年度は、三年間にわたり蓄積してきた模擬授業や教育実習の動画、実習日誌や評価用紙などの文字データを編集し直し、アクセスしやすいように管理する計画である。そして、これまでの研究成果を再検し、まとめの論文執筆と投稿を行いたいと考えている。そのために、残りの経費を充当する予定である。
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Research Products
(2 results)