2012 Fiscal Year Annual Research Report
体育授業における援助要請の発達的特徴と影響要因の検討
Project/Area Number |
23700700
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 勉 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30452923)
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Keywords | 学業的援助要請 / 自己調整学習 / 動機づけ |
Research Abstract |
本研究の目的は,体育授業における援助要請の発達的特徴とその影響要因を検討することであった.24年度は,23年度に開発された援助要請尺度を用いて,横断調査により学年差及び性差を明らかにし,縦断調査により年度内の変化及び影響要因の検討を行った.研究方法は,小学校5年生と6年生,中学校1年生から3年生までを対象とした質問紙調査であった. 横断調査は24年7月に行った.学年差及び性差を分析した結果,適応的援助要請尺度の得点は,学年が高いほど低く,また,男子は女子よりも低かった.依存的援助要請尺度の得点に学年差及び性差は見られなかった.要請回避尺度の得点は学年が高いほど高く,男子は女子よりも高かった. 縦断調査は,7月,11月,2月の3回を行った.その結果,適応的援助要請尺度の得点は,期間を通して,小学生よりも中学生の方が低く,また,小学生でも中学生でも7月から2月にかけて低くなっていくことが明らかになった.依存的援助要請尺度の得点に学年差はなく,年度内の変化も見られなかった.要請回避尺度の得点は,小学生よりも中学生の方が高かったが,年度内の変化は見られなかった. 援助要請の影響要因については,学習意欲及び目標志向性の影響を縦断データにより分析した.その結果,学習意欲では下位尺度の学習の方略が,目標志向性では課題志向性が適応的援助要請に影響していることが交差遅延モデルの分析から明らかになった. そして,援助要請に影響する教師の影響を潜在指標から検討した.中学校の体育教師に潜在連合テストを実施してもらい,生徒に対する教師の潜在的な期待を測定し,その得点の高さが生徒の援助要請にどう影響しているのかを検討した.その結果,男子は潜在的な期待が高い教師から学んでいる生徒の適応的援助要請は高いが,女子は潜在的な期待が中程度の教師から学んいる生徒の適応的援助要請が高いことが明らかになった.
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