2011 Fiscal Year Research-status Report
漸増負荷運動中の糖代謝応答は水泳運動と陸上運動で異なるのか?
Project/Area Number |
23700709
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
仙石 泰雄 筑波大学, 体育系, 助教 (30375365)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Glucose Threshold / 乳酸性作業閾値 / 代謝応答 |
Research Abstract |
本研究では,漸増負荷泳中の生理応答をより詳細に分析し,高強度運動中に血中グルコース濃度が上昇しない要因を明らかにすること,さらには水泳運動特有の糖代謝応答の有無を検討することを目的とした.本研究課題における初年度である平成23年度では,エリート男子大学競泳選手7名を対象とし,漸増負荷泳中の血中グルコース濃度の動態と代謝応答の関係を分析した.その結果,高強度運動中において先行研究同様に血中グルコース濃度は上昇を示さなかったが,酸素摂取量と二酸化炭素排出量の比である呼吸交換比は乳酸性作業閾値を超える運動強度からより高い割合で増加していることが明らかとなった.呼吸交換比の増加は,運動中における炭水化物酸化量の増加を反映していることから,水泳運動においては高強度運動中に糖の利用は高まっているものの,血中グルコース濃度が上昇を示さないことが示唆された.さらに,一流トライアスロン選手1名を対象とし,漸増負荷泳テストと漸増負荷走テストを実施したところ,漸増負荷泳テストにおいては競泳選手同様に血中グルコース濃度の上昇は認められなかったが,漸増負荷走テストでは運動強度の上昇に伴い血中グルコース濃度が上昇し,先行研究で示されているGlucose Thresholdが認められた.このことより,水泳運動において高強度運動中に血中グルコース濃度が上昇しないのは,水泳運動特有の現象である可能性が示唆された.平成23年度の研究実績より,水泳運動における高強運動中では陸上運動と同様に糖の利用は高まっているものの,水泳運動特有の現象として血中グルコース濃度が上昇しないことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた,漸増負荷泳中のグルコース濃度の動態と代謝応答の関係の分析が実施できた.また,同一対象者に対して漸増負荷泳テストと漸増負荷走テストを実施し,水泳運動中の血中グルコース濃度の動態が水泳運動特有の現象である可能性が検討できた.当初の計画では,漸増負荷泳中のホルモン応答も測定する予定であったが,本研究で新しく導入した水泳運動専用の代謝測定装置(Meta Swim, Cortex社)を利用するための準備期間に予定以上の時間を要したため,予定していたホルモン応答の分析は次年度の課題とする.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度同様に一流大学競泳選手を対象とし,漸増負荷泳中の血中グルコース濃度の動態と代謝応答およびホルモン応答を分析する.また,水泳運動と陸上ランニング運動との漸増負荷泳中の血中グルコース濃度の動態の違いを分析するために,陸上長距離選手およびトライアスロン選手の漸増負荷運動テストを実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は,漸増負荷運動中の血中乳酸濃度と血中グルコース濃度の測定および代謝応答の測定に必要な消耗品の購入,ホルモン(インスリン・カテコラミン濃度)の分析および実験の実施に関わる謝金に充てる.また,本研究成果を体力医学会および水泳・水中運動学会で発表を行うための旅費として用いる.
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Research Products
(2 results)