2012 Fiscal Year Research-status Report
漸増負荷運動中の糖代謝応答は水泳運動と陸上運動で異なるのか?
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23700709
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
仙石 泰雄 筑波大学, 体育系, 助教 (30375365)
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Keywords | 持久性能力 |
Research Abstract |
平成24年度においては、陸上長距離選手6名を対象とし漸増負荷運動中の血中グルコース濃度および糖代謝関連ホルモンの動態を分析した。その結果、先行研究と同様に陸上走運動においては、運動強度が上昇すると血中グルコース濃度も上昇することが示された。これは、高強度運動中も血中グルコース濃度が上昇しなかった昨年度における競泳選手を対象とした測定結果とは異なる現象であり、本研究仮説の通り、十分のトレーニングを積んだ競泳選手と陸上長距離選手の漸増負荷運動中の血中グルコースの濃度の動態は異なることが明らかとなった。さらに、陸上長距離選手において、高強度運動中に血中グルコース濃度が上昇する要因とし、運動中のアドレナリンとノルアドレナリンの分泌が関与している可能性が示唆された。 また、水泳運動と陸上運動中の代謝応答を分析する際には異なる測定器を用いることから、それぞれの測定機器の測定精度を検証した。その結果、水泳運動専用の呼気ガス分析の測定値がダグラスバック法を用いた測定値との誤差が約30%に及ぶことが明らかとなった。そのため、水泳運動専用の測定精度を向上するために、測定器の製造メーカーと連携し測定方法および測定プログラムの改変を行った。3回にわたる測定精度検証実験を経て、測定精度の誤差を大幅に減少することができた。本年度の取組により、水泳運動中においても信頼性の高い測定値を得る準備を整えることができ、今後水泳運動と陸上運動中の代謝応答を正確比較検討することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度において水泳運動中の代謝応答を測定する際に用いる呼気ガス分析の測定精度を検証した結果、ダグラスバック法を用いた測定結果と比較して約30%高い値が測定されことが明らかとなった。そのため、水泳運動中の代謝応答を正確に分析するために機器製造メーカーと連携して測定方法および測定プログラムの改変を行った。この測定機器の測定精度の向上を目指す実験に5か月を要したため、水泳運動中の代謝応答の分析に遅れが出ている。ただし、本年度中に水泳運動中の呼気ガス分析精度を向上することに成功したことにより、次年度において当初の研究目的を十分に達成することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に分析を実施できなかった、競泳選手およびトライアスロン選手を対象とした漸増負荷泳中の血中グルコース濃度および糖代謝関連ホルモンの測定を実施する。既に研究対象者は確保しており、2013年8月までに全測定を終了する。その後、測定データをまとめ、投稿論文および学会発表を通して得られた知見を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度への繰越金(480,228円)は、上肢運動中の生理応答をより正確に分析するために用いる腕クランクエルゴメーターおよび血中乳酸濃度および血中グルコース濃度の測定センサーの購入に用いる。既に2013年3月中に上記物品・消耗品の発注は行っていたが、会計処理が年度末にかかってしまったため、繰越金として処理する。 次年度においては、水泳運動中の血中グルコース濃度および糖代謝関連ホルモンの測定に関わる消耗品の購入および実験協力者に対する謝金に研究費を充当する。また、測定結果を公表するための学会旅費および投稿論文の英文校閲のために研究費を用いる。
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