2011 Fiscal Year Research-status Report
加圧トレーニングの利点を生かした筋力改善プログラムの開発
Project/Area Number |
23700713
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 智洋 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20549604)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、血流制限下の低強度トレーニング(加圧トレーニング)の利点を生かした筋力改善プログラムについて検討することである。研究1:加圧トレーニングと高強度筋力トレーニングの併用が筋力と筋サイズに及ぼす影響を検討した。一般成人男性をランダムに4群「高強度群(最大挙上重量(1RM)の75%)、血流制限群(30% 1RM)、併用群(高強度:1回/週+血流制限:2回/週)、対照群(トレーニングなし)」に分け、6週間(3回/週)のベンチプレストレーニングを実施した。6週間後、トレーニングを実施した3群ではベンチプレス最大筋力、上腕三頭筋と大胸筋の筋サイズが増加した。一方、相対的筋力(力/サイズ)は高強度群と併用群で増加したが、血流制限群では変化がなかった。したがって、加圧トレーニングは、高強度トレーニングを併用することで顕著な神経系の適応を促すため、筋力改善として有効な方法であることが判明した。研究2:加圧条件下で短縮性運動(CON)と伸張性運動(ECC)を行い、筋痛に対する影響を検討した。一般成人男性の腕をランダムにCONとECCに分け、30% 1RMで片側のアームカール運動を実施し、運動前から運動4日後まで、各種測定を行った。肘屈曲の等尺性最大筋力は運動直後にCONで36%、ECCで12%の低下を示したが、1-4日後では有意な低下は観察されなかった。上腕の筋厚(前面)と周径囲は運動直後にCONで顕著な増加を示したが、ECCでは変化がみられなかった。しかしながら、筋痛は1-2日後でECCのみで観察された。本研究の結果、CONでは筋痛は観察されず、またECCで観察された筋痛も小さかった。したがって、加圧運動はECCであっても高強度レジスタンス運動と比べて筋痛が極めて低いため、短期集中トレーニングの実施に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究拠点を移動したため、実験が滞ることが懸念された。しかし、必要な機器を揃えることができ、順調に研究を行うことができている。研究結果は国内外での学会発表として公表するだけでなく、論文掲載や論文投稿中になっている。H24年度は現在の研究室で引き続き研究活動を行うため、昨年以上に研究業績をあげることが可能だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マシンやフリーウェイトを用いた健常者向けの加圧トレーニングの報告は多数存在するが、弾性バンドを利用したトレーニングプログラムは検討されていない。弾性バンドを用いた加圧トレーニングによる効果が確立できれば、運動器や循環器への負担が少なく、かつ在宅でも十分な効果が期待できるため、とくに高齢者やリハビリ患者へのトレーニングとして有用と考えられる。また、加圧条件下では、短縮性運動と伸張性運動は筋に対する効果が大きく異なるとわかった(H23年度の研究)。そこで、それぞれの条件でトレーニングを実施し、どちらが筋肥大・筋力改善として有用な条件かを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
膝関節筋力の装置。学会の旅費。英文校正の費用。論文掲載料。実験参加者への謝金。MRIの撮影代。筋電図・血管内皮検査・血液検査の消耗品。血液の臨床検査代。
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Research Products
(10 results)