2013 Fiscal Year Research-status Report
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23700717
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中澤 篤史 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (70547520)
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Keywords | スポーツ文化 / 運動部活動 / 学校教育 / 歴史 |
Research Abstract |
日本のスポーツ文化は、欧州のそれが地域社会のクラブによって支えられてきたのとは対照的に、学校の運動部活動によって支えられてきた。では、この日本固有のスポーツのあり方である学校運動部活動は、いかにして形成・拡大・維持されてきたのか。この問いに研究代表者は継続的に取り組んでいる。その一環である本研究の目的は、学校運動部活動の歴史的展開を、a)明治20年代から昭和末期までの、b)中等教育機関を対象に、c)実態・政策・言説の視点から、d)事例分析による個別史と、e)米・英との比較も加えて、総合的に明らかにすることである。 2013年度は、戦前から戦後を経て現在に至るまでの運動部活動の歴史的展開を解明する作業に取り組んだ。具体的には、2011年度に行った戦後運動部活動の実態・政策・言説の関係と変遷を検討した全体史と、2012年度に行った日本教職員組合の運動部活動に関する見解を検討した個別史的研究を組み合わせながら、それを明治時代からの歴史的流れの中に位置づけ直し、総括的な通史を描こうとしたものである。 また2013年度には、米・英における運動部活動の歴史的展開に関する文献調査も行った。日本の運動部活動の国際的特徴を示すためには、その明治導入期や戦後改革期のモデルになりながら、結局は、日本ほど大規模化することはなかった米・英の運動部活動の歴史と比較し、その異同を検討する必要がある。しかし、わが国に紹介されている米・英の体育・スポーツ史は、教科体育中心であり、運動部活動の史的全体像は不十分である。そこで米・英の基礎的な文献を網羅的に蒐集する調査を実施した。今後は、これらの資料などを通じて、より詳細な分析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、概ね順調に進んでいる。2013年度は、戦前から戦後を経て現在に至るまでの運動部活動の歴史的展開を解明する作業と、米・英における運動部活動の歴史的展開に関する文献調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画通りに研究を進めていく。具体的には、本研究課題の最終年度として、学校運動部活動の歴史的展開を、a)明治20年代から昭和末期までの、b)中等教育機関を対象に、c)実態・政策・言説の視点から、d)事例分析による個別史と、e)米・英との比較も加えて、総合的に明らかにする作業を実施し、本研究の成果を総括することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は、2014年3月に文献の蒐集・分析および調査を予定していたが、急遽、所属大学の研究科から課された業務命令に基づき海外出張に出る必要に迫られた。そのため、使用する予定であった文献の購入費や調査に要する旅費などが2014年度に持ち越されることになった。ただし、本研究全体としての計画は、概ね順調に進んでいる。 上記の事情により持ち越された金額も使用しながら、2014年度は本研究の成果を総括することを目指す。具体的には、各年度に行った成果を踏まえながら、学校運動部活動の歴史的展開を、a)明治20年代から昭和末期までの、b)中等教育機関を対象に、c)実態・政策・言説の視点から、d)事例分析による個別史と、e)米・英との比較も加えて、総合的に明らかにする作業を実施する。そのための、資料購入・複写・閲覧に要する費用、および資料収集調査およびインタビュー調査の実施に要する諸費用をまかなうために研究費を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)