2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700718
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
奥村 基生 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 注意 / スポーツ / 運動学習 / 運動制御 |
Research Abstract |
本実験には大学剣道選手16名(中級・上級群)が参加した.課題において参加者は協力者と対峙して構えた.協力者は参加者に対して実際に打撃と防御の動作を指示する刺激を呈示した.刺激は4通りであり,(1)打撃,(2)防御,(3)打撃の指示から防御,(4)防御の指示から打撃,を指示するものであった.(3)(4)の刺激は,一時的に打撃あるいは防御に注意と動作を引き込み,その後に別方向に注意と動作を切り替える必要がある課題として設定した.参加者には,可能な限り迅速かつ正確に打撃と防御の動作を実行するように教示した.また,打撃すべきときに防御してしまう,あるいは,防御すべきときに打撃してしまうように一時的な攻防の間違いをした場合でも,試合と同様に,最終的には打撃あるいは防御を成功させるように教示した.結果は,一時的な攻防の間違いの頻度において,中級(15.2%)と上級(13.8%)群の差異は観察されなかった.一方で,実際に打たれてしまうような,最終的な失敗の頻度において中級(9.6%)と上級(5.1%)群に明確な差異が観察された.つまり,両群は一時的な攻防の間違いを同程度実行するが,その後の修正の動作において差異が認められたのである.これは,剣道の0.5秒以内の打撃と防御の動作の間に,たとえば,上級群は打撃の方向に注意を配分して動作を開始したのちに,打撃の動作をしながら相手の動作の情報を知覚し利用して,瞬時に防御の方向に注意と動作を切り替えて,最終的な防御の動作に成功する能力があることを示している.このような瞬時でダイナミックな注意と動作の切替の差異を,わずかな熟練差しかないプレイヤー間で観察できた研究は少ない.また,この発見は,スポーツ技能習得のための練習の設定などに役立つと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,スポーツや運動学習の専門家が参加する研究会や学会に参加し,研究を進行するための情報収集を行い,課題内容を洗練し,目的に沿う実験が実施できたと考えている.実験結果は,新しい知見があり期待どおりのものであった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本年度の実験結果について反応や動作の時間や運動学的な分析を行う.また,次年度は身体内外の注意の配分を操作するための課題内容を洗練し,実験を実施する.実験のために研究会や学会に参加し専門家からの情報収集を行う.また,本年度の研究について研究会や学会において発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の実験結果を分析するための分析用ソフトウェアを購入予定である.また,補助者に分析を依頼する.次年度は,専門家にミーティングや実験への参加を依頼し,研究目的に沿った実験を実施する.また,情報収集と研究成果の発表のために研究会や学会に参加する.学会誌に成果を公表する.
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