2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700718
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
奥村 基生 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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Keywords | 剣道競技 / 熟練過程 / 失敗 |
Research Abstract |
高速展開や開放技能の連続実行の特性があるスポーツでは,一時的に誤った判断や動作をしたときに,1秒以下の時間制約の中で誤りを修正することが失敗の回避のために重要となる.本研究の目的は,剣道競技の攻撃と防御の動作を瞬時に修正し切替えることを要求する実験課題を設定し,切替の成功と失敗の原因および熟練差を検討することであった. 課題では,刺激呈示者が参加者に対して「攻撃」か「防御」の動作の実行を指示する刺激を呈示した.刺激は「①面を攻撃」「②面を空けるふりから攻撃」「③面を空ける」「④面を攻撃のふりから空ける」という4つの動作を実行した.「面を空ける」は竹刀を右下に下げる動作であり,「面を攻撃」は跳び込み面の動作であった.参加者への教示は,刺激①②には面の防御,③④には面の攻撃の動作を可能な限り迅速かつ正確に実行することであった. 刺激①③の単純な刺激に対しては中級・上級群の正判断・動作の割合が高く相違がなかった.刺激④も同様の結果であった.群間で統計的有意差が認められたのは刺激②のみであり,上級群は複雑な刺激を見分けるだけではなく,攻撃に判断や動作を引き込まれた後にも瞬時に防御に切替えるための能力を有していると推測できる. 刺激②の試行を「正判断・動作」「誤→正判断・動作」「誤判断・動作」に分類すると,誤→正判断・動作および誤判断・動作では,正判断・動作と類似して円滑に剣先を操作しているように見えるパタンと,明らかに刺激呈示者側に竹刀を振出して攻撃を開始した後に防御に切替えているパタンが観察できた.中級群は一度攻撃の動作に引き込まれると,防御への切替えが遅れて被打撃されることが多く,上級群は,動作を切替えて被打撃を逃れていることが多かった.つまり,初動,あるいは,それ以前の準備のときの判断や動作に熟練差があると考えられる.
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