2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700733
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
束原 文郎 札幌大学, 地域共創学群, 准教授 (50453246)
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Keywords | 体育会系就職 / 企業スポーツ / 大卒就職 / スポーツ指導の権力 / 学校から職業への<移行> |
Research Abstract |
平成25年度は,研究課題に関わって1編の研究資料(束原文郎(2013)1912年~2008年夏季オリンピック日本代表選手団に関する資料:所属組織と最終学歴を中心に.早稲田大学『スポーツ科学研究』Vol.10,pp.242-316(http://waseda-sport.jp/paper/1302/1302.pdf))および1編の特集論文(束原文郎/アーロン・ミラー(2013)体罰と権力―文化人類学と〈体育会系就職〉論からみた体罰考―.体育の科学,Vol.63,No.10,pp.775-781)を掲載することができた. 前者は,1912年ストックホルム大会から2008年北京大会までのオリンピック夏季大会を対象に,オリンピック日本代表選手団の資料を整理し,選手の所属と最終学歴について考察した.体育会系就職の現象は,スポーツ界と経済界を中心に周辺の文化社会領域の変化との相関を捉えていく必要があり,その対象となる社会事象としてオリンピックはきわめて有効であると判断された,わが国の五輪代表選手の一覧を作成し,性別,学生/学卒別所属,学校種別最終学歴について単純集計して考察した.その結果,女性選手の台頭,学生選手のプレゼンスの低下,自衛隊・警察組織の貢献度の高さ,企業スポー ツの移り変わり,大学院卒選手と高卒選手の増加,大卒選手の数および割合の低下が明らかとなった.今後,トップアスリートにおける学校から企業への<移行>現象がいかに変化してきたかを問う,多角的な分析を可能とする基礎資料を作成することができた. 後者は,スポーツ指導現場における権力状況を体育会系就職の観点から主題化した.日本では歴史的に進学や就職といった進路を左右する権限が学校内の課外活動指導者に集中する状況が生まれ,そうした進路決定権に関わって体罰が発生しているのではないかと推論した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
五輪代表選手に関する資料が膨大で,整理および投稿に時間がかかってしまった.また,言説分析を行うための資料収集およびインタビュー調査実施状況にも少し遅れがある.基本的には他の研究課題遂行および校務との調整に失敗しているといえる. ただし,26年度遂行予定の量的調査についての準備を予定より早く進めることができた.体育会系に特化した大卒就職支援企業と協力関係を結び,<体育会系就職>の現代的諸相を描き出す準備については,当初の計画より進んでいる. 以上を勘案すれば,取り戻せないほどの大きな遅れという訳ではなく,若干の遅れに止まっているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,量的調査の遂行を優先する.今年度に進めておいた量的調査の準備に基づき,前期に体育会系就職の現代的諸相を描き出す. 同時に,言説分析のためのインタビューおよび資料収集を継続しておき,後期に分析作業を集中的に行う. 校務や他の研究業務とのバランスが課題となるが,なるべくクリティカルなものから優先順位をつけて処理していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用し切れなかったため. 旅費および物品費の足しにする.
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Research Products
(2 results)