2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋腱動態からみた筋疲労に対する協働筋の機能的役割:様々な負荷強度での検討
Project/Area Number |
23700736
|
Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
光川 眞壽 東洋学園大学, 人文学部, 講師 (60583408)
|
Keywords | 協働筋 / 筋腱動態 / 筋疲労 |
Research Abstract |
身体運動や筋力発揮によって骨格筋の力発揮能力が減衰することを筋疲労という。身体運動は複数の筋(協働筋)が張力を発揮することによって発現する。それゆえ、人間の筋疲労の機序を解明するためには、協働筋毎に筋疲労を定量する必要がある。1990年代より、Bモード超音波法によって観察される筋線維および腱組織の長さ変化(筋腱動態)は筋の発揮する張力と関連した動態を示すことが確認されている。そこで、本研究では、様々な負荷強度で生じた筋疲労時の協働筋の筋腱動態を検討することによって、協働筋各筋の張力変化を定量し、筋疲労に対する協働筋の機能的役割について明らかにすることを目的とした。 24年度は、中強度の筋力発揮によって生じる筋疲労時の筋腱動態を検討した。対象部位は足関節底屈筋である下腿三頭筋とした。被験者は最大筋力の40%レベルをできるだけ持続する課題を実施した。その際、腓腹筋内側頭(MG)およびヒラメ筋(SOL)の筋腱動態および筋電図を観察した。その結果、筋電図上では、初期の筋活動水準が低い筋の筋活動が時間経過に伴い増加した。一方、MG、SOLの筋腱動態に有意な変化は見られなかった。これらの結果から、中強度の場合、協働筋間で初期の筋活動水準が低い筋の神経活動を高めることで各筋の張力を一定に保つことが明らかとなった。23年度は、ごく低強度の運動による筋疲労を検討しており、中強度の結果とは異なり、協働筋間で疲労した筋の張力を疲労していない筋が補うことが解明された。 以上のように、本研究の結果、筋疲労に対する協働筋の働きは実施する運動強度によって異なることが明らかとなった。つまり、ごく低強度の運動によって生じる筋疲労は、協働筋間で疲労した筋の張力を疲労していない筋が補い、中強度の運動では、協働筋の中で筋活動水準の低い筋の神経活動を高めることで各筋発揮する張力を一定に保つことが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)