2011 Fiscal Year Research-status Report
エリートランナーの出産前後のトレーニングプログラムの提案
Project/Area Number |
23700740
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鯉川 なつえ 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70338424)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
女性アスリートの活躍が目覚ましい昨今、エリートランナーの出産前後のトレーニングを調査、検証し、それらを元に、医科学的見地に基づいた安全かつ科学的な、"女性アスリートのための出産前後におけるトレーニングプログラム"を確立できれば、国内外の女性アスリートの選手寿命が伸び、パフォーマンスの向上に大きく貢献すると考えられる。そこで、本研究はエリートランナーにおける出産前後のトレーニング事例を収集し、医科学的コーチングの観点から、安全かつ有効なトレーニングプログラムを確立させることを目的とした。 2011年度は、ドイツ(1名)およびアメリカ(2名)の出産を経験したエリートランナー計3名を対象に、出産前後トレーニング関するアンケート調査およびインタビュー調査を実施した。 調査内容は、出産前後の(1)年齢、(2)身長と体重、(3)安静時心拍数、(4)走行距離、(5)トレーニングメニュー、(6)運動強度(客観的・主観的)、(7)運動頻度、(8)運動時間、(9)障害の有無、(10)出産後のトレーニング開始時期、(11)分娩方法および新生児の様子、等々であった。その結果、以下の知見が得られた。1. 対象者全員が、オリンピックから逆算して出産を計画していた。2. 対象者全員が、出産直前まで何らかのトレーニングを実施していた。3. 出産後のトレーニングは、1名は出産48時間後からウォーキングを開始し、7日後からランニングを開始していたが、出産10ヶ月後に骨盤の疲労骨折を発症し、他の2名は出産後1ヶ月半からトレーニングを開始し、怪我の発症はみられなかった。4. 対象者全員が、出産前後のトレーニングメニューをドクターやコーチではなく自分自身で決定していた。 以上のことから、トップアスリートは妊娠、出産をさほど特別視せず、自己管理の元、トレーニングを継続していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた対象者にリサーチをすることができた。また、3名の対象者のうち2名がロンドン五輪の代表に内定したので、世界のトップランナーの貴重なデータを収集できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、日本のアスリートのデータを収集するとともに、今年度のデータ~から、「諸外国の出産方法や出産に関する考え方の違い」も関連していると考えられることから、諸外国の出産事情についても調査を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本の出産を経験したアスリートに対する、「出産前後のトレーニング」のリサーチおよび諸外国のトップアスリートに対する同内容の継続的リサーチを計画している。
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