2012 Fiscal Year Research-status Report
エリートランナーの出産前後のトレーニングプログラムの提案
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23700740
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鯉川 なつえ 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70338424)
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Keywords | 出産前後トレーニング / 女性アスリート / エリートランナー |
Research Abstract |
本研究の目的は、エリートランナーにおける出産前後のトレーニング事例を収集し、医科学的コーチングの観点から、安全かつ有効なトレーニングプログラムを確立させることである。 当該年度は、出産を経験した日本のエリートランナー5名、ルーマニアおよびイギリスのエリートランナー各1名の計7名を対象に、出産前後における生理学的症状およびトレーニング内容等について、共通のアンケートを用いて調査し、さらに、インタビュー形式による詳細な情報収集をおこなった。その結果、以下の知見が得られた。 1.対象者7名全員が、出産前後のトレーニングについて、医師の指示を受けず、独自の判断で実施していた。2.日本のエリートランナー5名中3名は、出産前後にトレーニングをほとんど実施しておらず、出産後において希望通りの復帰ができなかった。3.日本のエリートランナー2名および諸外国のランナー2名は、出産前後にトレーニング強度を調節しながら妊娠前に行っていたトレーニングをできる限り実施しており、出産後一年以内にほぼ妊娠前の競技力に戻っていた。4.日本のランナー1名と諸外国のランナー1名にいたっては、出産前日までトレーニングを継続し、出産後に国際大会において優秀な競技成績を収めていた。5.出産後2週間以内にランニングトレーニングを開始した2名は、その後に骨折等の怪我がみられた。 以上のことから、出産前にトレーニングを強度を考慮しながら継続することで出産後の復帰が早まるが、出産後のトレーニングを早期に開始すると怪我のリスクが高まる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定していた対象者に対するリサーチは、9割ほど完了していることから、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、対象者をあと1~2名追加し、更に専門家による見解を得て、データのまとめに入る。年度末に、研究成果をどこかで発表することが目標である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
リサーチ及び学会参加のための旅費60万円、対象者および専門家への謝金10万円、その他10万円を予定している。
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