2013 Fiscal Year Annual Research Report
エリートランナーの出産前後のトレーニングプログラムの提案
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23700740
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鯉川 なつえ 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70338424)
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Keywords | 出産前後トレーニング / 女性アスリート |
Research Abstract |
本研究は、エリートランナーたちの妊娠前後のトレーニングを明らかにすることであった。そして、出産後も高いパフォーマンスを発揮したランナーたちのデータをもとに、女性アスリートのために医学的に安全で有効な妊娠前後のトレーニングプログラムを提案することを目的とした。 対象者は出産経験のあるエリートランナー計10名(日本5人、USA2人、ドイツ、ルーマニアおよびイギリス各1人)であった。対象者に共通のアンケート用紙を用いて、妊娠前後の生理学的症状およびトレーニング内容等を調査し、インタビューによる詳細な情報収集をおこなった。それにより対象者10名を、出産後1年以内にレースに復帰した群(Return群)と復帰できなかった群(Not returned群)に分類し、検討した。 その結果、1.Return群は主要国際大会の約2年前に出産していた。2.Not returned群はReturn群に比べ有意にベスト体重に戻すのに時間を要した(p<0.05)。3. Return群は自分自身でトレーニングレベルを調節しながら出産直前まで運動を継続していた。そして出産50.9日後には運動を再開し、出産後一年以内にほぼ妊娠前の高いパフォーマンスレベルに戻った。しかし、出産後2週間以内にランニングトレーニングを再開した2人は、その後に疲労骨折をした。4.Return群は、出産後5.43か月で、ほぼ妊娠前と同等のトレーニングをしていた。5. Not returned群は妊娠前後にトレーニングをほとんどしなかったので、出産後にアスリートとして復帰ができなかった。 これらのことから、妊娠中は自分自身の体調を考慮しながらトレーニングを継続することで出産後の復帰が早まる。しかし出産後のトレーニングを早期に開始すると怪我のリスクが高まる可能性が示唆された。
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