2011 Fiscal Year Research-status Report
オーバーヘッドスポーツにおいて肩障害の危険因子を回避する肩甲上腕関節の動き
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23700747
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近田 彰治 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (80598227)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肩 / 肩甲骨 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
本研究は、オーバーヘッドスポーツにおいて肩甲上腕関節に発症する慢性障害の危険因子を回避するとともに、高い競技力の獲得を可能にする効率的な肩甲上腕関節の動きを、実測されたデータを基に提案することを目的とした。テニスサーブを研究対象とし、上腕が最も外側に捻られた瞬間(最大外旋位)の肩甲上腕関節の肢位、および最大外旋位に至る過程(バックスイング局面)において肩甲上腕関節がどのような肢位を辿るか、の2点に着目して分析を行った。肩甲上腕関節の肢位は、肩甲骨と上腕骨の相対的な動きによって決定されるため、総合的に肩の動きを分析していく必要があった。データ収集の対象者は大学生テニス選手であった。電磁ゴニオメータによって計測された、胸郭、肩甲骨、上腕骨の3次元運動のデータから、肩甲骨と上腕骨の相対的な位置関係である肩甲上腕関節角度を算出した。また、テニスサーブにおける肩の機能の特徴を明確に示すために、同様の方法で取得された大学生野球投手の投球動作時のデータと比較した。その結果、テニスサーブのおける最大外旋位は、外見上は投球における最大外旋位と同様であったが、肩甲上腕関節が投球動作よりも水平内転位に位置していた。テニスサーブにおいて長さ約0.68m、質量約300gのラケットの先端を加速することは、145g程度のボールを手指で加速することに比べて、肩の前方がより伸張されやすくなることが予想され、肩甲骨がその向きを変化させることで肩甲上腕関節の前方に付着する腱板、靭帯の過伸張を防いでいるのではないかと考えられる。また、バックスイング局面における肩甲上腕関節が辿る肢位を分析するために、球面座標系を用いたデータ可視化方法を導入した。現在、球面座標系上で表された肩甲骨に対する上腕骨の動きを詳細に分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の段階では、大学生選手のデータに加え、より高いレベルで活動するプロフェッショナルレベルの選手やそれに準ずる大学生選手を対象としたデータ収集を計画していたが、それらの選手を対象としたデータ収集の機会を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行えなかったより高いレベルで活動する選手を対象としたデータ収集を行う。昨年度に、プロフェッショナルレベルに準ずる大学生選手との打ち合わせは完了しているため、まず、今年度はそのレベルの選手数名を対象としたデータ収集を予定している。また、当初より2年目に計画していた介入研究を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ収集を行うに当たっての、テニスボール、アスレチックテープ等の消耗品費を計上する。また、選手が普段練習を行っている場所へ実験方法を熟知した研究補助者とともに出向いてデータ収集を行うため、その旅費を計上する。また、国内外での学会での研究成果の発表と国際学術雑誌への論文の投稿を予定しているため、研究成果の公表に関する予算を計上する。
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