2013 Fiscal Year Research-status Report
運動部活動のOB・OG組織を活用して地域スポーツクラブを発足させる事例研究
Project/Area Number |
23700750
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
神谷 拓 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70460467)
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Keywords | 地域スポーツクラブ / 運動部活動 / 自治集団活動 / 生活指導 / 部活動 / 教育課程 / フィールドワーク / スポーツ教育学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、運動部活動のOB・OG組織を活用して地域スポーツクラブをつくる方法を、事例研究を通して明らかにすることである。具体的には、1.地域スポーツクラブ発足に必要な運動部活動指導の内容、2.OB・OGへの接し方、3.地域スポーツクラブ発足後に行った運動部活動との連携の内容、4.転勤後の教師の関わりと現状の課題、について明らかにすることを目指している。 本年度は、とりわけ1と3に関する分析を進めることができた。具体的には、調査対象者である平野和弘の執筆した論稿を分析すると共に、本人へのインタビュー及び地域クラブへのフィールドワークを通して、地域スポーツクラブの設立につながる運動部活動指導の内容が明らかになった。彼は、地域スポーツクラブの設立、運営に関わる「自治内容」を把握し、それを体育授業、運動部活動、地域スポーツクラブへと徐々に委託していくことで、地域スポーツクラブと運動部活動の連携を築いていた。 また、もう一人の研究対象者である星野直之実践も分析した。彼の実践の特徴は、運動部活動の民主的な運営を重視し、そのことにより卒業生を地域スポーツクラブの担い手に育てていく点にあった。彼の実践を支えていたのが「クラブ通信」であり、本年度はその傾向を分析した。彼は、週に2~3回の頻度でクラブ通信を発行し、部員の声を積極的に取り上げると同時に「励ます」ことで、地域スポーツクラブや運動部活動の自治集団活動の基盤となる、民主的な人間関係づくりに取り組んでいた。 両氏の実践では、とりわけ「自治」と「合意」が重視されていた。そのため、それらの方針が運動部活動を地域スポーツクラブにつなげるうえで重要であると思われる。この点については、さらに検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げていた対象者である、平野和弘と星野直之の実践に関わる資料の収集と分析は、ほぼ完了している。しかし、両者の共通点と相違点を精緻に分析する作業が残されている。また、両氏は同じ民間教育研究団体に所属しているため、彼らに共通する方針が、他の事例・実践にも当てはまるのかに関しても検討の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平野和弘と星野直之による実践の共通点と相違点を分析し、論文にまとめる予定である。さらに、そこで明らかになった共通点が、他の事例にも当てはまるのかを分析する。3人目の対象者とは既に連絡を取り合っており、調査を進める段取りはできている。具体的な調査の方法は、これまでと同様に、実践記録などの資料分析と、教師、生徒、OB・OGへのインタビュー調査を中心とするフィールドワークである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文の抜き刷り料金の金額が予定していたよりも安く、また、その支払日が年度末であったため、残金を他の支出に割り当てることができなかった。 1.調査対象者(愛知県)のインタビュー調査に必要な旅費、2.データ分析・整理に必要な備品の購入費用(ファイル、メディア、ソフト等)3.研究成果報告のための学会・研究会への参加費用及び旅費、4.データ整理・テープ起こしのサポートのための人件費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)