2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700758
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
下河内 洋平 大阪体育大学, 体育学部, 准教授 (80465632)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 前十字靱帯 / 片脚着地 / ACL損傷 / 膝関節 / スポーツ外傷予防 / Landing / ACL Injury / Injury Prevention |
Research Abstract |
本研究は非接触性前十字靱帯(ACL)損傷が最も生じる片脚着地において、体幹部のアラインメントやその安定化がどの様にACLの損傷予防に貢献し得るのかについて検証することを目的として実験が行われた。 平成23年度は20名の女性被験者よりデータ収集を完遂した(内2人からのデータはノイズが確認されたため除外)。被験者は介入なしの統制条件、ドローインにより体幹の安定性向上を図る実験条件1、ドローインに加え背中に棒をあてがい体幹の安定性及びアラインメントを矯正する実験条件2において、片脚ジャンプ-片脚着地、30cmの台高からのドロップ片脚着地、両足ドロップジャンプを地面反力計上で行った。これらの動作中の各セグメントの位置及び方向データは3次元動作解析システムにより収集された。その他、アラインメントや最大体幹筋力データなども収集された。 平成23年度はこれら収集されたデータのうち、ドロップ片脚着地の矢上面のデータを分析し、ACL損傷リスクとの関連性を検討した。その結果、実験条件1と2では、ACL損傷が最も生じやすいと考えられている接地から最大地面反力及び最大膝伸展モーメント発生時までの股関節屈曲可動域が統制条件と比較し有意に増大し、最大膝伸展モーメントは統制条件と比較し有意に減少した。また、同区間の負の股関節仕事量及び股関節総仕事量も有意に増大することが認められた。 以上の結果は体幹の安定性を高め体幹アラインメントを矯正することは、片脚着地時の膝関節への負荷の減少や安定性の向上に貢献し、ACL損傷リスクを低減する可能性があることが示唆された。これらの結果は15th European Society of Sports Traumatology Knee Surgery and Arthroscopy Congressにおいて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は科学研究費の交付確定が遅れたため、プロジェクトの開始時期が遅れたことと、データ収集時に3次元動作解析システムが故障し、アメリカ合衆国の本社へ修理の為送り届けなければならなかったなど、時間的ロスが生じた。 これらの理由により、当初は男性被験者からも平成23年度中にデータを集める予定であったが、女性被験者からのみしかデータ収集を行うことができなかった。男性被験者からのデータ収集は、平成24年度のプロジェクトと並行して遂行される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は2種類の体幹トレーニングを行うことが片脚動作中の下肢の運動学的・動力学的パラメーター及び非接触性ACL損傷リスクへ及ぼす影響を検証する。具体的には、トレーニグを行わない統制群、姿勢保持の要素を含むコアスタビライゼーショントレーニングを行う実験群1、そしてクランチなどの低強度で非バリスティックな伸長‐短縮サイクル運動による体幹トレーニグを行う実験群2において、トレーニグ効果の有無や片脚着地中の下肢のバイオメカニクスに及ぼす影響を検証する。平成23年度に男性と女性は体幹の神経筋制御様式が異なる可能性が示されたため、平成24年度は女性被験者のみを用いて実験を行う。合計30名の女性被験者を用いる。 また、平成23年度のプロジェクトにおいて収集しきれなかった男性被験者からのデータも継続して収集を続け、7月までにデータ収集を完了させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は被験者や験者への謝礼金、研究発表の為の渡航費、そして、表面筋電図の電極などの消耗品などに使用される。平成23年度からの繰越金(\150,737-)は、平成24年度に継続して行われる平成23年度分の実験に参加する男性被験者や験者への謝礼金として使用される。
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Research Products
(2 results)