2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の立ち上がり動作特性に合わせた椅子型筋力トレーニングマシン構造の開発
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23700760
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
谷本 道哉 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70435733)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 椅子立ち上がり動作 / サルコペニア / 関節トルク |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者の立ち上がり動作の動作特性に基づいた、筋力増強に効果的であり、かつ手軽に行うことのできる椅子型の筋力トレーニングマシンの構造を開発することである。当該年度は、若年者を用いた椅子立ち上がり動作の動力学特性の分析をハイスピードカメラおよびフォースプレートを用いて行った。首振り動作の有無による動作特性の違いの分析を行い、首振りを行うことで立ち上がり動作中の股関節伸展トルクが増加すること、それにより股関節伸展速度、膝関節伸展速度が増加し、立ち上がり速度が向上するという知見が得られた。なお、この時膝関節伸展トルクに変化は見られなかった。首振り動作を使うことで立ち上がり速度が増加するが、その際に股関節伸展動作の貢献度が増すことが分かった。つまり首振りをつかうという立ち上がり方の違いによって各関節トルクの貢献度に変化が起きることが分かった。首振り動作を行うことで、頸部を屈曲させる動作の慣性が、頸部の近位側の体幹の前方回旋の運動量を増加させる。この体幹の運動量の増加によって股関節屈曲トルクが強められ、その結果、伸長-短縮サイクルによる股関節伸展トルクの増加を誘発したものと考えられる。また、首振りの頸部伸展動作による上方への運動量が立ち上がり速度の増加に貢献したという要素も作用している可能性がある。次年度は本年度の測定内容を高齢者についても行い、立ち上がり動作別の股関節、膝関節トルクの貢献度の配分を分析する。また各脚伸展角度の違いを歪ゲージより測定し、同力学特性に則したトレーニング機器を設計、制作する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は若年者および高齢者における椅子立ち上がり動作の動作特性、筋力特性を分析、評価する予定であった。前者においてはおおむね計画通り進行したが、後者の実行が遅れている。高齢者の被験者のリクルートが思うように進まなかったためである。そこで、本年度は被験者のリクルートができている若年者においてより内容を深める研究を行うこととした。通常の椅子立ち上がり動作だけでなく、首振りを利用した立ち上がり動作の動作解析を行い、関節トルクの貢献度等の検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の課題である、高齢者における椅子立ち上がりの動作特性および立ち上がり動作における筋力特性の実験を進める。被験者のリクルートに関しては、マシン作成を共同で行う(有)ネイチャーコアサイエンスに協力いただき、進めていくものとする。また、紀の川市役所、岩出市役所の健康推進関係の課に協力を仰ぐものとする。研究は若干の遅れが生じているが計画通り研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高齢者の立ち上がり動作の動作特性および筋力特性の測定被験者の謝金として20名×10,000円×2=40万円、トレーニングマシン制作費用25万円、学会発表旅費10万円、筋電図等の消耗品、論文投稿準備費用25万円の配分とする。
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