2012 Fiscal Year Research-status Report
車椅子バスケットボールの相互行為における「障害」の組織化に関する研究
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23700762
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
渡 正 徳山大学, 経済学部, 准教授 (30508289)
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Keywords | 車椅子バスケットボール / 相互行為分析 / エスノメソドロジー / ゲーム分析 / スポーツ社会学 |
Research Abstract |
本研究は、障害の社会性と個人性の関係における身体の問題について、これまで経験的に論じられてきた点を実証的に提示することを目的とする。すなわち、車いすバスケットボールにおける「障害」をめぐる相互行為のビデオ分析からスポーツ場面において障害がどのように意味づけられ組織化されているのかを検討するものである。 平成24年度の研究課題は、ビデオデータの収集と方法論の検討、およびそこで得られた知見の試験的適用であった。ビデオデータの収集については平成23年度から継続し全国規模の二つの大会(日本車椅子バスケットボール選手権大会、日本選抜車椅子バスケットボール大会)においてビデオデータの収集を行った。これにより、トップレベルからローカルなレベルまでの研究に十分なデータの収集を完了することができた。 また理論的・方法論的検討については、平成23年度の成果を踏まえつつ検討を進めた結果、研究仮説を実証するに必要な理論的・方法論的枠組みを得ることができた。その成果は、平成24年7月に出版された著書に反映させるとともに、平成25年3月に行われた日本スポーツ社会学会にて発表を行った。得られた方法論的仮説は平成24年度までに収集したデータの一部に対して当てはめ、実際の分析を開始した。 これらにより平成24年度の研究課題については一定の成果が得られたため概ね順調に進展していると考えることができ、最終年度である平成25年度の道筋を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究課題は、当初計画では(1)フィールドワークによるビデオデータの収集と(2)理論的枠組の検討、(3)データ分析・解釈の開始の3点であった。ビデオデータの収集に関しては、24年度の調査によって十分なデータの収集がなされ、この点の調査はほぼ終了した。理論的枠組の検討については、学会発表等により理論をデータに適用し分析を行うに足る知見が得ることができたと言える。データ分析・解釈の開始については、(1)・(2)の終了が当初計画よりも若干おくれたため、平成24年度中に十分に行うことができなかった。ただしデータ分析については、当初計画においても平成24年度の主たる課題ではないため、研究計画に支障は出ていない。よって平成24年度は概ね順調に課題を遂行できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究期間でデータの収集はほぼ終了したため、データの分析と成果の発表が今年度の主な課題である。ただしデータについては補足的に収集を行う予定である。本年度の前半において得られたデータの分析を行う、後半に成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、データの分析と成果の発表という課題を遂行するにあたり以下の計画で研究費を使用する。 まず物品費であるが、障害学・社会学・エスノメソドロジー等関連文献や、ゲーム分析を行うための補助的ソフトの購入に250千円を使用する。また継続調査や研究会・成果発表のための旅費交通費として300千円、データ分析・トランスクリプト作成のための謝金として150千円の計700千円の使用を計画している。
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