2013 Fiscal Year Research-status Report
車椅子バスケットボールの相互行為における「障害」の組織化に関する研究
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23700762
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
渡 正 徳山大学, 経済学部, 准教授 (30508289)
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Keywords | 車椅子バスケットボール / 相互行為分析 / エスノメソドロジー / ゲーム分析 / スポーツ社会学 |
Research Abstract |
本研究は、障害(ディスアビリティおよびインペアメント)を社会的に構成されるものと捉え、その身体の問題をスポーツの実践から実証的に検討することを目的とする。車椅子バスケットボールのゲーム場面における相互行為をビデオ分析から検証し、障害がどのように意味づけられ組織化されているかを検討するものであった。 平成25年度の研究課題はこれまで収集したデータの分析および成果を公表することであった。収集したデータはトップレベル(全国大会ベスト4レベル)、ミドルレベル(全国大会1回戦レベル)、ローカルレベル(地方大会レベル)である。平成25年度にはこれらの試合を撮影したビデオデータを各種指標に基づくデータへと変換し分析を行った。 一方、データ分析・解釈についての理論的・方法論的検討については、平成24年度までに大枠においては終了していたことから、平成25年度には補足的な検討を進め、データ分析・解釈へと適用しつつさらなる洗練を行っている。 しかしながら、現状の分析からは各レベル間での差異が明確にあらわれてこなかった。この点自体は、研究目的・計画自体に特別影響を与えるものではなく、車椅子バスケットボールという実践そのものが持っている性格が、各レベルのゲーム・プレイの内容と障害の意味付けに構造的に影響をあたえているものとして把握することができる。ただし、この点はより分析の精度を上げ、分析内容についての検討がさらに必要になることを要請する。したがって十分な知見が得られなかったことから本計画年度での成果発表(学会発表・論文投稿)については留保し、平成26年度に成果を発表することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り平成25年度はデータの分析を行っていたものの、分析を行うゲーム間(トップ・ミドル・ロワー)の差異が設定した仮説よりも少なく、分析項目等の見直しが必要になった。またより適切な成果発表機会が平成26年度にあることから、一部研究計画を変更した。そのため、平成25年に行う予定であった学会発表・論文投稿について平成26年度に行うこととした。 この点については、研究計画そのものから遅延しているわけではないためおおむね順調に進展しているとかんがえることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように、研究成果の好評については平成26年度に行うこととし、補助事業期間を延長した。期間の延長に伴い、さらにゲーム分析の精度が向上することが期待される。さらに事業期間の延長によって、分析した結果を車椅子バスケットボールの実践当事者とともに検討することが可能になり、本研究の知見をさらに向上させる事ができるようなる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に車椅子バスケットボールのゲームについてトップレベル・ミドルレベル・ロワーレベルの各試合のゲーム分析を行い、その結果をもとに学会発表・論文投稿を行う研究計画を予定していた。しかし、より適切と思われる発表機会が平成26年度7月に開催される(第18回ISA世界社会学会議)ため、研究計画を一部変更し事業期間を延長したい。またゲーム分析の結果において各レベル間の差異が明確ではなかった。これは、ゲームにおける障害の組織化のありようは、プレイのパフォーマンスの高低に影響されるものではなく、車椅子バスケットボールというスポーツそのもののもつ性格に由来するのではないかという点を示唆するものであり、分析項目等を増加しつつ検討する必要が生じた。そのため事業期間を延長することで、研究成果をより進展させたいと考えた。 以上のことから、更なるゲーム分析を行い、成果を報告することとし、未使用額をその経費に当てることにしたい。 本研究年度における未使用額の使途としては、主に成果発表における旅費交通費が主なものとなるが、その他ゲーム分析改良のための研究経費(物品等)に当てる予定である。
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