2014 Fiscal Year Annual Research Report
車椅子バスケットボールの相互行為における「障害」の組織化に関する研究
Project/Area Number |
23700762
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
渡 正 徳山大学, 経済学部, 准教授 (30508289)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | スポーツ社会学 / 相互行為 / 障害学 / 障がい者スポーツ / 車椅子バスケットボール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「障害(ディスアビリティ・インペアメント)を社会的に構成されるものとして捉え、それをスポーツの実践から実証的に検討することが目的である。特に、車椅子バスケットボールのゲーム場面における相互行為を分析し、スポーツにおいて「障害」がどのように扱われているかを検討した。 本研究では、車椅子バスケットボールの試合を、競技レベルからトップ・ミドル・ボトムに区分しそれぞれの試合をビデオ撮影した。記録は車椅子バスケットボールのゲーム分析を参考に選手ごとのボール保持秒・ボール保持回数・出現率を計算した。また、これらの結果から同一チーム内での行動連鎖を算出した。その結果、一般的には持ち点の高い選手(インペアメントが軽い選手)が「活躍」(=ゲーム結果に影響を与えている)していることを示した。これは先行研究の指摘のように、インペアメントの重さがスポーツという社会的行為から排除される要因になる可能性を示唆する。しかしながら、ゲーム結果への影響ではなく選手個人のゲーム中のプレイを指標とすると、持ち点の低い選手への評価が変化する。 たとえば、持ち点の低い選手が関与する行為連鎖の割合は、トップレベルのチームほど有意に増大する。また、試合全体でのプレイの連鎖が高くなる=パスを回しながら全員でプレイするほどローポインターもボールに関与する傾向にあることがわかった。以上のことからは、車椅子バスケットボールのゲームにおいては、持ち点の低い選手のインペアメントはチームの競技力があがるほど、無化されている可能性が示唆される。 すなわち、ゲーム中の他のメンバーとの相互行為がどのように・どのレベルで行われるかによって、各人のインペアメントが「チームに欠かせないもの」「そうではないもの」といった形で経験されることや、障害とはアスリートの相互行為によって/中で「達成されている」ものであるといえるのである。
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