2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700770
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山仲 勇二郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20528343)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生体リズム / 身体運動 |
Research Abstract |
(研究の目的)本研究は、ヒト生物時計に対する高照度光と身体運動の相互作用を時間隔離実験室を使用し、行動(睡眠覚醒)、ホルモン(メラトニン)、深部体温のリズムを測定し検証する。(実施計画)本研究は、健康な20代の成人男性を対象に時間隔離実験室を使用して行う。被験者は、時間隔離実験室内で12泊13日生活する。実験は、通常のリズム位相を測定するベースライン期間(3日)、通常の睡眠時間帯を8時間位相前進する強制スケジュール期間(4日)、そして、睡眠時間や食事のタイミングを制限しないフリーラン期間(6日)、3つのセッションからなる。ベースラインおよび強制スケジュール期間中は8時間睡眠、16時間覚醒とし、覚醒時の実験室内の照度は約3000ルクスの高照度光とし、睡眠中は約0ルクスである。メラトニンリズムを計測するための採血時およびフリーラン期間中は約10ルクスの低照度に設定する。(研究実績)平成23年度の研究計画に従い、3回の隔離実験を行い、対照群4名、運動群4名より以下の結果を得た。[睡眠覚醒リズム]対照群(4名中3名)、運動群(4名)ともにフリーラン第1日目の睡眠開始位相は8時間前進した就寝時刻付近にみられ睡眠覚醒リズムは身体運動を負荷しなくとも高照度光のみで再同調が完了していた。[メラトニリズム]対照群、運動群ともに8時間前進スケジュール最終日ではベースライン期間から5~6時間の位相前進が認められた。メラトニンリズムの位相前進量は、対照群と運動群間では同程度であり、運動によるメラトニンリズムの再同調促進効果は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における当初の実験計画では運動により促進された睡眠覚醒リズムの再同調がメラトニンリズムを2次的に位相前進させることを予測していた。しかし、平成23年度の結果では運動を負荷しなくとも睡眠覚醒リズムは再同調を完了しており我々の仮説とは異なる結果となった。メラトニンリズムの位相変化量についても対照群と運動群間で差は認められなかった。しかし、フリーラン第1日目における睡眠覚醒リズムとメラトニンリズムの位相関係は、対照群ではベースライン期間に比べ大きくなっており両リズム間で脱同調が生じていることを示唆させる結果であった。一方、運動群では睡眠覚醒リズムとメラトニンリズムの位相関係はベースライン期間と同定度であったことから運動は睡眠覚醒リズムとメラトニンリズムをそれぞれ制御する2つの振動体間の相互カップリングを維持する作用を持つことが予測される。以上の結果から、本研究は当初の目的および仮説とは異なる結果となったが、ヒトの概日リズムに対する運動の効果について新たな知見を見出すことができた点を評価し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度と同様の実験条件で時間隔離実験を行う。統計的な検定を実施するために少なくとも対照群、運動群とも7名以上の被験者数となるように被験者を募集し、実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と同様に、隔離実験実施にともなう実験室借用料、被験者への謝金、メラトニンリズム測定のための試薬類の購入のために研究費を使用する。また、研究成果を学術論文への投稿するため、論文投稿・英文校正に対して使用する予定である。
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Research Products
(3 results)