2011 Fiscal Year Research-status Report
運動が海馬機能を高める分子基盤の解明:細胞外プロテアーゼに着目して
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23700775
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西島 壮 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (10431678)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 運動 / 海馬 / 細胞外プロテアーゼ / MMP-9 |
Research Abstract |
H23年度(1年目)は、一過性トレッドミル走運動に応じて海馬におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP-9)プロテアーゼ活性が高まるか否か検証した。【方法】実験には、8週齢Wistar系雄性ラットを用いた。一過性トレッドミル走運動に先立ち、全てのラットにトレッドミル走運動に馴化させることを目的とした走運動トレーニングを行わせた。最後の走運動トレーニング終了後から3日間の安静期間を設けた後、一過性トレッドミル走運動実験(30 min)を行った。運動強度は、非運動(0 m/min)、低強度運動(10 m/min)、高強度運動(25 m/min)の3条件とし、海馬のサンプリング時間は運動終了直後、1時間後、12時間後、そして24時間後の4条件とした。海馬MMP-9プロテアーゼ活性は、ゲルザイモグラフィー法およびin situザイモグラフィー法を用いて、定量的および定性的に解析した。【結果および考察】ゲルザイモグラフィーの結果、一過性トレッドミル走運動による海馬MMP-9プロテアーゼ活性の有意な上昇は全ての条件で認められなかった。唯一、高強度運動直後にMMP-9活性がわずかに上昇したが、統計的有意差は認められなかった。in situザイモグラフィーによる定性的解析を行った結果、高強度運動直後において、歯状回顆粒細胞層で限局的にMMP-9プロテアーゼ活性が上昇する様子が観察された。以上の結果は、一過性のトレッドミル走運動は、海馬全体においてMMP-9プロテアーゼ活性を上昇させるというよりも、歯状回顆粒細胞において上昇させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、一過性のトレッドミル走運動によって海馬歯状回顆粒細胞層においてMMP-9プロテアーゼ活性が増加する可能性が示唆されたものの、明確な結論を得るに十分な結果は未だ得られていない。したがって、現在までの状況は「やや遅れている」と判断する。研究が遅れている要因のひとつとして、第一の課題であったゲルザイモグラフィーおよびin situザイモグラフィー法の確立に時間がかかってしまったことが挙げられる。また、これまでの結果から歯状回顆粒細胞層で限局的にMMP-9プロテアーゼ活性が高まる可能性が示唆されたが、これを実験的に検証するためには、海馬から歯状回のみをサンプリングし、ゲルザイモグラフィー法で解析・定量する必要がある。また、運動条件(強度、時間)の見直しも行わなくてはならない。このように、当初、想定していなかった課題により実験の進捗状況はやや遅れているが、現在はこれらの課題解決に向けた実験を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度(2年目)の研究目的は、以下の2点とする<目的1>一過性運動による海馬MMP-9プロテアーゼ活性が海馬歯状回で増加するか否か、検証する。<目的2>運動による海馬機能向上にMMP-9が関与するか否か、MMP-9阻害実験により検証する。目的2は、当初の計画通りである。ただし、目的2を進めるためには、上述した通り、初年度の課題をしっかりと解決してから取り組む必要がある。したがって、目的1の達成をH24年度前期の目標とし、それ以降に目的2の達成に向けた研究を進めていく。また、上述の研究と並行して、MMP-2やMMP-7、さらにはニューロプシンなど海馬機能と関わる他のプロテアーゼの解析を視野に入れ、実験準備を進めていく。これにより、研究の停滞を未然に防ぎ、最終目標の達成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は、当初の計画通り設備備品を購入する必要はない。研究費は主に実験動物、試薬(MMP-9阻害薬、など)、および消耗品(浸透圧ポンプ、など)の購入に充てる。さらに、研究発表のための国内旅費(10万円)に充てる。
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