2012 Fiscal Year Research-status Report
運動が腸管免疫の変化に及ぼす影響~抗菌ペプチドによる検討~
Project/Area Number |
23700777
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷村 祐子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90551458)
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Keywords | 抗菌ペプチド / cryptdin-4 / 腸管免疫 / 運動 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
本研究は,抗菌ペプチドdefensin(マウスにおけるcryptdin,本研究では特にcryotdin-4;crypt-4)に着目し,急性及び継続的な運動が腸管免疫パラメータに及ぼす影響について明らかにすることを目的とする.本年度においては,一過性のトレッドミル運動を負荷し,安静時,運動直後,運動3時間後,運動6時間後,運動24時間後の小腸遠位と盲腸内容物,小腸洗浄液(PBSで腸管を洗い出した液)を採取した.小腸のcrypt-4 mRNA 発現量と腸管免疫に関与する因子(TNFa,TLR4,pIgRなど)と,盲腸内容物の腸内細菌叢のDNAを定量RT-PCR法にて測定した. Crypt-4は安静時に対して運動3時間後で増加傾向であったが,6時間後では安静時の値に戻った.これは昨年度と同様の結果であった.さらに小腸洗浄液IgAは運動3,6時間後に有意に増加した. 炎症マーカーであるTNFaは運動3時間後で増加傾向を認めた.またTLR4,pIgR,IL10,ZO-1は運動6時間後で有意な減少を認めた. 腸内細菌はTotal eubacteria、Clostridium-coccoides group、Bacteroides-Prevotella group、Bifidobacterium、Lactobacillusを測定した.Total eubacteriaの発現量を内部標準として,解析を行った.Bifidobacteriumは運動3,6時間後で増加したが,統計的な有意差は認められなかった.Lactobacillusは運動3,6時間後で有意に増加した. 以上の結果から一時的に外部からの細菌等の侵入に備え,防御面を増加するが,その後炎症に対する反応性が低下し,膜の透過性も減少するため細菌等の侵入を容易にする可能性が示唆された.一方で腸内細菌では,運動後乳酸菌が増加する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗菌ペプチドにおける研究に関しては,基礎的な部分が解明されていないことが多い.本年度は,運動と係わりを検討する一方で.cryptdin以外の腸管免疫パラメータを測定することによって,全体体的な腸管免疫の評価をするよう試みた.次年度よりはこれらのパラメータをともに測定する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで,一過性の運動と抗菌ペプチドに着目して研究をすすめてきた.なかでも抗菌ぺプチドはパネート細胞より分泌されるcrypdinの測定を行ってきた.近年,他の抗菌ペプチドであるβdefeninが腸内細菌の影響をうけて,発現するという報告がある.運動によって腸内細菌叢が変化する可能性があるため,βdefeninの測定も追加する予定である.さらに,自発的に運動するモデルとして回転かごを用いた運動量の増加において,腸内免疫の変動を検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたDSS腸炎モデルの実験をとりやめたため24年度の研究費に未使用額が生じたが,その代わりに運動モデルでの実験パラメータを追加した.よって,研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、前年度の研究費も含め、次年度も追加したパラメータを測定する予定である.追加したパラメータは研究目的に沿って追加されたものであり次年度の研究計画と合わせて実施する.
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