2011 Fiscal Year Research-status Report
特徴的動作局面の同期が二肢協調動作制御に及ぼす影響
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23700783
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村岡 哲郎 日本大学, 経済学部, 准教授 (30398929)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | multilimb coordination |
Research Abstract |
「複数肢の協調動作は,特徴的動作局面を同時に動作させるという知覚的目標を指向する」という仮説があるが,この仮説は両手示指の周期的屈曲―伸展協調動作の結果のみに基づき,十分に検証されていない.そこで,本研究では研究計画に基づき,平成23年度は特徴的動作局面を持つ動作が何であるかを検証する実験を行った. 従来の研究では,関節動作を屈曲-伸展や内転-外転などというように,ある関節動作の二つの動作局面を一律に取り扱っていたが,手指の屈曲が物体の把持という重要な機能と結びつくように,動作局面によって機能的重要性は異なり,特徴的動作局面が手指以外でも存在することが予想される.実験では,日常的に複数肢を協調させて動作させることが多い上肢を対象とした.示指屈曲―伸展,示指内転―外転 ,手首屈曲―伸展,橈尺関節(前腕)回内―回外,肘関節屈曲―伸展の6動作を対象とし,それらをメトロノーム音(1.75Hz~3.75Hz,8秒毎に0.25Hz速度増加,72秒)に合わせて周期的に動作させた時の音と動作(例:最も屈曲した時の時間)の時間差を測定し,動作安定性の指標とした. 実験の結果,示指屈曲―伸展においては屈曲局面がより特徴的動作局面である(動作安定性が高い)ことが確認され,これは先行研究と同様であった.本研究では,それに加え,橈尺関節(前腕)回内―回外において回内局面が特徴的動作局面であることが示された.一方,その他の4動作においては,個々の被験者において一貫した特徴的動作局面が見られることがある場合があっても,被験者に一貫した特徴的動作局面の存在は認められなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行において協力を仰ぐ予定であった人物が遠方に異動したことにより,実験の立ち上げが遅れてしまったが,概ね予定通りに研究計画は実施された.23~24年度の2年度にわたって実施する実験については,予備的な実験を行うに留まっているが,24年度には計画通りに遂行される見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
既に行った上肢関節動作と音との協調に関する実験について,被験者によらない特徴的動作局面と,特定の被験者固有にみられる特徴的動作局面という視点から追加の実験(再現性の確認等)を行う.その上で,確認された特徴的動作局面を持つ動作が,動作に付随した刺激(皮膚への電気刺激等)によって変化しうるものか否か(頑健性)を検討する.その後,特徴的動作局面を持つ動作,持たない動作について,左右肢での協調動作を行い,二肢協調動作は特定(特徴的動作局面を同時に動作させるという)の知覚的目標を指向するというMechsner et al.(Nature, 2001)の仮説を検証する. 上述した頑健性検討の実験は,23~24年度にかけて行う実験であり,実験における「動作に付随した刺激をする装置の作成」の工程が24年度にずれ込んだために,23年度研究費の一部は24年度に使用することとなった.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は,主に,特徴的動作局面頑健性を調べる実験装置の材料製作費,関節角度計測機器(ゴニオメータ),被験者への謝金に使用する計画である.
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