2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病による筋萎縮の予防に向けた血流制限運動の有用性と機序の解明
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23700789
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
須藤 みず紀 福岡大学, 身体活動研究所, ポスト・ドクター (10585186)
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Keywords | 2型糖尿病骨格筋 / エキセントリック運動 |
Research Abstract |
前年度の結果より,2型糖尿病骨格筋は,レジスタンス運動のような物理的ストレスに対する抵抗性が正常モデルよりも低い可能性が示唆された.2型糖尿病もモデルにおける,エキセントリック収縮様式を含むダウンヒルトレーニング誘発性の筋損傷が著しい場合,血流制限運動の連続負荷は筋萎縮予防の妨げになる可能性がある.そこで,平成24年度は,正常モデルと2型糖尿病モデルラットであるGoto-Kakizaki ラット(T2D)におけるダウンヒルランニングトレーニングによる骨格筋適応効果を検証した.本実験で使用した2型糖尿病ラットの血糖値は,140-200mg/dlであり問題はなかった.ダウンヒルランニングは,傾斜-10°のトレッドミルを用いて,12-21m/min,5分間(休息3分)×8セットのプログラムを週3回,合計6週間実施した.正常モデルは,軽やかにプログラムを遂行できたが,糖尿病モデルは走行が安定しない,走行を拒否するという現象が観察された.体重,摂餌量ともに,両モデルに有意な差はみられなかった.ダウンヒルトレーニングによる筋損傷は,正常モデル,及び,2型糖尿病モデルの両群にて,観察されなかった.対照的に,6週間のダウンヒルトレーニングによって,両群の発揮張力は,コントロール群と比較して有意な上昇がみられた.さらに,前脛骨筋における筋重量においても有意な増加を示した.したがって,長期的なエキセントリック収縮様式を含むダウンヒルトレーニング負荷は,筋損傷を引き起こされず,長期的トレーニングに耐えうること可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,血流制限エキセントリック運動を負荷するに当たり,その連続的な負荷における危険性について検討を行った.疑似運動プロトコールとして,エキセントリック収縮様式を含むダウンヒルランニングトレーニングモデルを用いた.その結果,連続的な負荷の危険性は,組織学的観点からはキャンセルされた.対照的に,筋張力の上昇,筋量の増加といった筋萎縮予防につながるエビデンスが得られた.したがって,これらの成果は,循環の観点からの検証もふまえた血流制限運動効果を検証する上で心強い結果であるといえるだろう.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,過去2年間の研究成果に基づき,血流制限運動による筋萎縮予防効果を明らかにすべく実験を遂行する.2型糖尿病モデルにおける血流制限運動を行い,組織,循環,遺伝子発現の観点から骨格筋における応答を検証する.また,連側的な血流制限運動負荷による筋量維持,筋萎縮予防に関連する遺伝のタンパク質発現についても検討行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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