2012 Fiscal Year Annual Research Report
イノベーション化した検診システムの構築~自己管理型子宮がん検診の実践に向けて~
Project/Area Number |
23700794
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉田 朋美 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (00312893)
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Keywords | 子宮がん検診 / 社会医学的因子 / 若年層 / 液状化細胞検体 / Human Papillomavirus |
Research Abstract |
平成24年度は、自己採取法がどのような集団にて有効に活用出来るのか、また自己採取による子宮がん検診の有効かつ効率化のための社会医学的因子の解析を行い、従来法に新しい手法を加えた“イノベーション化した自己管理型検診システムの構築”による子宮がん検診の受診率向上を目指し、健常被験者とフォローアップ被験者の二群の比較検討を行った。 両群ともに20歳代から30歳代の若い世代で、自己採取を経験した後は、次回希望採取法として“自己採取法”を積極的に選択する傾向を認めた。また検診を受けた経験のない群、婦人科外来受診経験がない群、分娩経験がない群、未就業群で同様の傾向を認めた。一方、40歳代から50歳代で、安心感を婦人科医採取に持ちつつも、自己採取を経験した後は、次回希望採取法は“どちらとも言えない”を選択する人が多く、積極的に“自己採取”を選択するというより、迷う傾向を認めた。近年、若年層のパート、バイトなどの非常勤雇用で定期的に職場検診を受診できる機会の少ない若年者が増加しており、ワクチン接種は金銭的に高く、接種することが出来ていないこと、がん検診無料クーポンの存在は知りつつも、利用者は半数にも達していないのが現状であり、検診受診まで至る動機付けが弱いと考えられる。さらに沖縄県で行った採取検体を郵送で群馬大学に回収した液状化細胞検体は郵送途中の破損、細胞の変性もなく、すべての症例において適正な細胞診標本が作製でき、本研究の手法はどこにいても質の高い検査を受診可能とする郵送可能な検診検査法として有用であることが示唆された。 現代社会の狭間に生きる若年層の検診受診行動を起こすきっかけの一助として、時間的制限や精神的制限のない個人のライフスタイルに合わせた“自己採取法”を取り入れた検査法を選択肢のひとつとして確立することは、若年層の子宮がんの減少、検診受診の向上に貢献できると考える。
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