2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700797
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
近藤 慶子 滋賀医科大学, 医学部, 教務補佐員 (20566567)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 魚摂取 / 栄養指導 / 糖尿病 |
Research Abstract |
魚食の動脈硬化予防効果は魚に多く含有されるω-3 系多価不飽和脂肪酸(ω-3 PUFA)によるものと考えられているが、詳細な分子機構は不明である。我々は、健常ボランティアにおいて魚食介入により血管拡張機能が改善し、この効果が介入終了後も持続することを見出した。本研究では、動脈硬化リスクの高い糖尿病患者を対象とした魚食介入を行い、健常者と同様の効果が得られるかどうかを検討するとともに血管拡張機能改善に関連する因子を同定することを目的とした。2型糖尿病患者23名を対象とし、摂取エネルギー28kcal/kg、魚摂取期間(魚由来ω-3 PUFA 3g/day)およびコントロール期間(ω-3 PUFA制限)を各々4週間継続する無作為割当てクロスオーバー試験を行い検討した。対象者はA群(魚摂取期間→コントロール期間)またはB群(コントロール期間→魚摂取期間)に割り当てた。両群ともに、試験期間中を通してエネルギー摂取量は変化しなかったが、ω-3PUFA摂取量および血中ω-3PUFA濃度は試験前に比べ魚摂取期間後有意に上昇し、コントロール期間後に減少した。対象者23名の各期間前後を比較すると、魚摂取期間後にT-choおよびTGの減少を認めた。また、血管拡張機能の評価項目である最大血流増加率、血管拡張持続時間、血管内皮機能の指標であるFDRは両群ともに魚摂取期間後にのみ有意に改善した。さらにA群において8週まで血管機能の改善効果は持続した。今後は、得られた血液・尿における種々のマーカーを測定し、血管拡張機能との関連因子を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室には、過去に研究実績のある優秀な研究者が多数在籍しており、研究を進める際の助言を得ることができ、実際の進捗状況に関して毎週開かれる研究カンファレンスにて適宜修正を加えながら実験を進めることが可能な環境が整っているため、本研究はおおむね順調に進展している。また、研究協力者として研究代表者の実験をサポート、補完する人員として実験助手が数名在籍しており、適宜助力を得ながら研究を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの結果より、糖尿病患者においても魚食介入により血管拡張機能の改善を認めるとともに、レガシーエフェクトも観察された。しかし、血管拡張機能の改善に関連する因子は見出せていない。今後は、従来より報告のある炎症マーカーや酸化ストレスマーカーに加え、末梢血単球機能、ADMA(Asymmetric Dimethylarginine)の測定やリピドローム解析を行い、血管拡張機能との関連を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究で被験者様より採取した血液・尿を用い様々な因子の測定を行う。このうち、炎症マーカーや酸化ストレスマーカーは委託検査会社に依頼し、この検査費が研究費の大部分を占める。その他の項目の測定に必要な解析機器は、研究室にすでに整備されており、研究経費は、主に消耗品代として使用する。ELISA kit、抗体、RNA精製試薬、RT-PCR用試薬など抗体類と試薬代の比重が大きい。費用の計算は一般的な検査費および納入価から計算しており概ね妥当と考える。
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