2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700797
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
近藤 慶子 滋賀医科大学, 医学部, 教務補佐員 (20566567)
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Keywords | 栄養治療 / 魚食 / 糖尿病 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
魚食の動脈硬化予防効果は魚に多く含有されるω-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3 PUFA)によるものと考えられているが、詳細な分子機構は不明である。我々は、健常者において魚食介入により血管拡張機能が改善し、この効果が介入終了後も持続することを見出した。本研究では、糖尿病患者を対象とした魚食介入を行い、健常者と同様の効果が得られるかどうかを検討するとともに血管拡張機能改善に関連する因子を同定することを目的とした。 2型糖尿病患者23名を対象とし、摂取エネルギー28kcal/kg、魚摂取(F)期間(魚由来ω-3 PUFA 3g/day)およびコントロール(C)期間(ω-3 PUFA制限)を各々4週間継続するクロスオーバー試験を行い検討した。対象者はA群(F期間→C期間)またはB群(C期間→F期間)に割り当てた。 両群ともに、試験期間中を通してエネルギー摂取量は変化しなかったが、ω-3PUFA摂取量および血中ω-3PUFA濃度は試験前に比べF期間後有意に上昇し、C期間後に減少した。対象者23名の各期間前後を比較すると、F期間後にT-choおよびTGの減少を認めた。また、血管拡張機能の評価項目である最大血流増加率、血管拡張持続時間、血管内皮機能の指標であるFDRは両群ともにF期間後にのみ有意に改善した。さらにA群においてC期間後である8週まで血管機能の改善効果は持続した。血管機能と関連すると考えられる炎症、酸化ストレスおよび末梢血単球M1M2マーカー等の期間中の変化は両群ともに認めなかった。試験期間中に変化を認めた脂肪酸およびその代謝産物、脂質代謝いずれにおいても、血管機能の変化との間に関連を認めなかった。 以上の結果から、糖尿病において魚食が血管機能を改善し、その効果は持続することが明らかとなった。血管機能改善因子については、動物・細胞実験を組み合わせ、さらなる検討が必要と考えられる。
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