2013 Fiscal Year Annual Research Report
アロマセラピーによるヘルスプロモーション:精油の抗アレルギー作用機序解明
Project/Area Number |
23700800
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴倉 美砂子 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (30314694)
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Keywords | アロマセラピー / 精油 / 喘息 / アレルギー / ヘルスプロモーション |
Research Abstract |
本研究では、アロマセラピーに用いられる精油の作用をマウス喘息モデルにて検討した。これまで3種類の精油を喘息マウスにそれぞれ投与して、気道抵抗測定、肺胞洗浄液中の細胞分画およびサイトカイン濃度、血清IgE値、病理組織学的検査を用いて、喘息マウスに対する精油の効果を評価してきた。その結果、3種類の精油のうちの1つに喘息症状の軽減作用があることが確認された。平成25年度は、精油をマウスに吸引させる方法を用い、これまでの検討に加えて、肺組織におけるTh2サイトカインと粘液分泌に関与する遺伝子発現変化をreverse transcription (RT)-PCRにて検出した。 精油の吸引により喘息マウスの気道抵抗が抑制された。喘息マウスでは増加する肺胞洗浄液中の総細胞数と好酸球数が精油吸引により有意に抑制された。喘息マウスでは粘液を分泌する杯細胞が増加するが、精油吸引によりPAS陽性の杯細胞数とPAS陽性面積が有意に抑制され、さらに肺胞に浸潤する炎症細胞数も抑制された。喘息マウスで検出される血清IgE値は、精油吸引により影響を受けなかった。喘息マウスで上昇した肺胞洗浄液中のTh2サイトカインは精油吸引により有意に抑制された。さらに、肺組織のTh2サイトカインや粘液分泌に関与する遺伝子発現を検討したところ、精油吸引により数種類の遺伝子発現が有意に抑制された。これまでの実験から、特定の精油を吸引させることで喘息マウスの症状を軽減し、これにはTh2サイトカインや粘液分泌関与遺伝子の発現抑制が関係していることが明らかとなった。精油の効果を科学的に検証した報告は少なく、この研究結果は、経験的に用いられている精油の疾患に対する作用機序の一端を解明するものである。このような科学的実証を積み重ねることで、安全なアロマセラピーによるヘルスプロモーションを社会に発信して行く。
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Research Products
(4 results)