ヘルスツーリズムの有効性に関する実証研究

2012 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23700801
• Research Institution: University of the Ryukyus
• Principal Investigator: 荒川 雅志 琉球大学, 観光産業科学部, 教授 (70423738)
• Keywords: ヘルスツーリズム / 転地保養 / 応用健康科学 / 海洋療法 / 自然療法 / 健康観光 / タラソテラピー / メディカルツーリズム

Research Abstract

本研究は健康科学の視点から学術基盤が脆弱であるヘルスツーリズム健康増進の学術基盤構築の一環として、本邦初の（1）転地療養効果および転地療養の中核プログラムである自然療法、海洋療法に関するエビデンステーブルの構築、（2）臨床疫学方法論に基づく転地療養の無作為割付比較介入試験(RCT)を実施し、新しい健康増進アプローチとしてのヘルスツーリズムに科学的根拠を得ることを目的とする。
平成23年度は、転地療養の中核メニューに位置づけられる自然療法のリストアップを行い、健康効果に関するシステマティックレビュー、エビデンステーブルの構築を試みた。また、ヘルスツーリズム先進地域である沖縄の一地域を対象に地域健康資源の掘り起こし、健康長寿のライフスタイルについて主に余暇活動の観点から住民調査を実施した。エビデンステーブル構築作業は順調に推移し概ね完成した。住民調査では新たな健康資源の存在として健康長寿の余暇身体活動要因を探ることができた。平成24年度は、モデル地域の抽出、連携を図り、海をキーワードとしたヘルスツーリズムの事例として沖縄本島北部地域の海洋療法施設を中心とした滞在プログラムの開発をおこない、次年度の検証準備を完了した。
ヘルスツーリズム分野をカバーする医科学文献データベースはこれまで存在せず、脆弱な学術基盤のうえに漠然としたイメージに立脚した保養・癒しをテーマとした健康商品、観光商品開発が全国で進められているなか、医科学的見地からの学術基盤整備を図る本研究の成果、安定的発展かつ持続可能な健康産業、地域振興に寄与するとともに、近年高まる健康ニーズ、効果訴求ニーズの解決策における旅と健康に関する学術根拠資料となり得ることが期待される。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度に続き次年度に予定していた米国研究協力者との共同研究作業が前倒しで進むなど、研究スケジュールが順調に消化されたことにより、次年度以降の余裕をもった実証試験の計画と実施、解析および成果の出力が期待できる。

Strategy for Future Research Activity

これまでに構築したヘルスツーリズムの主要な滞在コンテンツとなる自然療法、海洋療法に対し、疾患・効果別に整理した文献情報を基に、我が国の地域特性による高医療型ヘルスツーリズム（転地療養・中長期型）プログラムを作成し、国内初の無作為割付比較試験による効果検証を行う。昨年度に連携を開始した沖縄本島東海岸に位置するアジア最大級の海洋療法施設との共同研究を開始した。本施設および沖縄全域の地域資源を活用した健康滞在プログラムを作成し、旅行型健康増進の効果について明らかにしていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

最終年度であるH25年度は、引き続き自然療法、海洋療法に関する学術文献資料の収集作業、システマティックレビュー、データベース構築作業に要する相応の研究補助謝金を計上するとともに、介入試験評価に係る検査委託費、消耗品費、データ集計、解析に係る研究補助謝金を計上する。国内学会、国際学会発表のための旅費、論文執筆に係る英文校閲費を計上する。