2011 Fiscal Year Research-status Report
心理特性・動機の程度に基づく心身の健康増進を目指した行動変容プログラムの策定
Project/Area Number |
23700807
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
齋藤 瞳 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (40551817)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 行動変容 / 健康増進 / ストレス / 生活習慣 / 心理特性 / 自我状態 / 動機 / IT |
Research Abstract |
生活習慣病やストレス性の疾患はともに,食事・運動・睡眠,日々の心がけ・行動に大きく影響を受ける.しかし,望ましい生活習慣を継続することは困難であり,動機を保ちにくかったり,動機があったとしても頑張りすぎなど挫折してしまうことが多い.そこで本研究では,この問題を踏まえ,心理学・行動医学的観点に基づき個々人の心理特性と動機の程度に合った生活習慣改善およびストレスコントロールに関する行動変容プログラムの策定を目指すこととした. 平成23年度には,特定健診メタボリックシンドローム対策の一環として作成されたIT 版健康増進プログラムであるPersonal Health Record(以下,PHR)を土台とし,ストレス指標を追加し心身両面から介入可能なプログラムの策定を行った.その際には,より個々人の心理特性および動機の程度に即したプログラムとなるよう,これまで企業を対象として施行・収集したデータの検証を行った(SAITO H.,KIMURA Y.,TASHIMA S.,et al.,2012). 既存のPHRには問診として,自我状態(心理特性)を把握するための質問紙である"自己成長エゴグラム"と,ステージ理論に基づいた動機の程度に関する質問項目があった.本研究ではさらにストレス指標として"職業性ストレス簡易調査表"の導入を行った.その際には,大学生用に改定を行い,その妥当性と信頼性に関して検討した. 本研究では大学生を対象としたプログラムの策定を目指すが,生活習慣病およびストレス疾患の予防のためには,社会に出る以前から,望ましい生活習慣およびストレスをコントロールする力を身につけることが重要になるとの視点からである.そこで,平成24年度は,以上のように策定した行動変容プログラムを大学生に実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の土台となるPHRプログラムは既に運用されており,本研究では既存のプログラムを基に(1)ストレス指標の追加,(2)大学生用に改変を行うなど,研究を開始しやすい環境が整っていたためといえる. また,既にデータベース化されているため,より個々人の心理特性・動機の程度に即したプログラムになるよう改定を行う際にも,データ解析・効果検証など確実に行うことが可能であった点も順調に研究が進んだ1つの理由と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,H23年度に策定したプログラムを大学生に施行し,無作為割付により,個別性を考慮しないプログラムを施行した群(統制群)と,心理特性や動機の程度に基づいたプログラムを施行した群(実験群)で,比較検証を行う.プログラムの施行は6ヶ月間とし,6ヶ月目以降3年間は逆戻り・継続性の検証のためフォローアップを行う.そして,医学・心理学に関する数量データの解析に加え,メール内容などに関して質的に検証する. 平成25年度以降は,プログラムの改定を中心に行う.平成24年度に検証した成果に基づき,プロトコルの改定を行い,より効果の高いプログラムの策定を目指す.試験的に,プロトコルを組みながら検証を重ね,平成26年度までに個々人の心理特性や動機の程度に基づく心身の健康増進を目指した行動変容プログラムの策定を終える予定とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度はプログラム策定を中心に行ったが,H24年度は策定したプログラムを実際に施行する段階に入る.そのため,プログラム管理に掛かる費用,プログラム施行に伴い,多大なデータの収集,処理,解析を行うため,整理など研究補助への謝礼も必要となる.また,国内外での研究打ち合わせ旅費や会議費は,引き続き必要経費と考える. さらに,研究における情報収集の一環としての書籍購入,記録媒体等の周辺機器,サーバー関連消耗品は不可欠である.また,研究を推進していくために継続して研究成果を発信することも重要と考えられ,それに伴う学会における発表旅費,外国論文校閲等の機関誌への掲載に関わる費用も必要となる.
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