2015 Fiscal Year Annual Research Report
心理特性・動機の程度に基づく心身の健康増進を目指した行動変容プログラムの策定
Project/Area Number |
23700807
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
齋藤 瞳 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (40551817)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 健康増進 / 行動変容 / 心理特性 / 自我状態 / 動機 / ストレス / 生活習慣 / IT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,認知行動療法及び交流分析の理論に基づき,個々人の心理特性と動機の程度に応じた心身の健康増進プログラム「心ログ」を策定し,その効果を検証した. 「心ログ」は,スマートフォンの使用を主としたアプリケーションであり,プログラム開始時に,自我状態・ストレス・生活習慣等を把握する問診を行い,その問診結果に応じ呈示された目標を利用者が自己選択する.その後,目標達成度,ストレスや気分,睡眠時間等を記録し,個々人に応じたコメントが日々送付され,ポイント等も加算されるシステムになっている.プログラム期間は3カ月間であり,プログラム終了時には問診時と同じ検査を再度実施した. その結果,プログラムを行った学生の心身のストレス反応値(「イライラしている」,「食欲がない」等)及び認知の歪みの数値(「物事を悪い方に考える」,「小さなミスでも気にする」等)が,実施後には実施前と比較し有意に低下した. さらに,その効果に関して問診結果との関連を検討した結果,ストレス,認知の歪み,生活習慣において課題があった者ほど,その課題において心身の健康増進効果が顕著に認められ,プログラムの効果が明らかとなった.つまり,ネガティブに物事を捉える,あるいは運動習慣がない等の場合に,プログラムにおいてポジティブに物事を捉えたり,運動に関する目標を立て実行することにより,考え方のくせや生活習慣の改善が認められたと考えられる. ただ,長期的効果については現在継続的に研究を進めており,今後検討していく必要がある.また,プログラム終了後に行った半構造化面接の結果からは,動機が全くなかったりストレスイベントに直面した場合に,プログラムの継続が困難になる可能性が示唆された.そのため今後は,動機が全くない場合でも健康に対する意識を高め,ストレスイベントに直面した際により有効となるプログラムの策定が必要と考えられた.
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