2012 Fiscal Year Research-status Report
運動支援ボランティアによる場づくりがソーシャル・キャピタルに及ぼす効果
Project/Area Number |
23700819
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute |
Principal Investigator |
甲斐 裕子 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員 (20450752)
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Keywords | 運動 / 住民ボランティア / ソーシャル・キャピタル / 地域保健 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域住民から構成される運動支援ボランティアによる地域での運動の場づくりが、ソーシャル・キャピタルの向上に寄与するか否かを明らかにすることである。研究1(個人レベルの検証)・研究2(小集団レベルの検証)・研究3(地域レベルの検証)から本研究は構成されている。平成24年度は、前年度に引き続き、茨城県笠間市にて運動支援ボランティアの養成講座を2回開催した。養成講座は1コース5日間である。その結果、約30名の運動支援ボランティアを養成することができた。加えて、平成23年度に養成した運動支援ボランティアの地域での活動を支援した。運動支援ボランティアの活動を1年間継続したグループは、身体機能および認知機能が向上することが明らかとなかった。今後のソーシャル・キャピタルの変化を追跡する予定である。さらに、茨城県笠間市の高齢者を対象としてソーシャル・キャピタルに加え、心身の健康度や体力も測定した。次年度にも追跡調査を実施する予定である。なお、研究3の比較対照地域として、笠間市以外の高齢者にも郵送調査を実施した。この調査では、地域単位の住民の運動実施率とソーシャル・キャピタルについての横断的な解析を実施した。その結果、誰かと一緒に行う運動を週1回以上実施している人が多い地域ほど、ソーシャル・キャピタルが高いことが明らかとなった。一方、ひとりで行う運動の実施率と地域のソーシャル・キャピタルとは関連を認めなかった。これらの結果は、住民がともに運動できるような場づくりを進めることが、地域のソーシャル・キャピタル向上に寄与する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は東日本大震災の影響により運動支援ボランティアの養成がやや遅れた(本研究は自治体と協力した取り組みであり、自治体が震災の被害を受けたため)が、平成24年度でボランティア養成はおおむね軌道に乗った。しかし、ボランティア育成後に申請者が急病(入院と自宅療養に伴う休職)を患ったため、データの解析およびボランティアの活動支援が一部遅れている。ただ、現在は復職し、データの整理を急ピッチで進めると同時に、ボランティアの活動支援を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究1で養成した運動支援ボランティアの活動を支援する。平行して新たな運動支援ボランティアも養成する。さらに、地域高齢者に大規模調査・測定を行うことで、運動支援ボランティアによる運動の場づくりの、地域への波及効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・物品:運動支援ボランティアの活動に必要な運動器具等の購入費 ・旅費:養成講座や測定のため旅費、情報収集のための学会参加の旅費 ・人件費・謝金:測定会の補助とデータ整理のための謝金 ・その他:地域高齢者への郵送調査のための各種経費
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Research Products
(14 results)