2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の筋肉減少症・肥満の表現型に着目した身体的虚弱予防のための包括的検討
Project/Area Number |
23700820
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
金 美芝 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40601349)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 虚弱高齢者 / サルコペニア / 肥満 |
Research Abstract |
近年、加齢性筋肉減少症(サルコペニア)が虚弱の中心的な症候であるは知られているが、一方、肥満も虚弱のリスクの一つとして注目を集めている。しかしながら、筋肉減少症・肥満の表現型に着目した虚弱化予防及び改善策については明らかにされていない。そこで、平成23年度の初回調査では、虚弱高齢者における筋肉減少症・肥満の表現型の4つのタイプの分類による生理学的および身体的特徴を明らかにすることを目的とした。本研究では東京都板橋区在住する75歳以上の虚弱高齢女性131名(平均年齢80.6 ± 2.9)を調査対象とした。身体組成測定はDEXA法を用いて、筋肉減少症は四肢の筋肉量(AMM)から骨格筋指数(AMM/身長2)を算出して分類する。肥満は体重と体脂肪量から体脂肪率を算出して分類した。調査項目は、代謝、生理学的、身体機能などであった。その結果、本研究の対象者において四肢の筋肉量とインスリン様成長因子1、副甲状腺ホルモンintact(iPTH)、熱ショックタンパク質(HSP72)、握力、膝伸展力との関連性が認められた。体脂肪量の増加は成長ホルモンの減少、β2-ミクログロブリンの増加、身体活動量の減少と関連があった。本研究の虚弱高齢女性では、正常群は29.8%、サルコペニア群は30.5%、肥満群は28.2%、Sarcopenic obesity(SO)群は11.5%の割合であった。身体機能の項目のうち握力と膝伸展力および身体活動量についてSO群は正常群に比べ有意に低い値を示したが、サルコペニアと肥満群においては有意な差は認めなかった。生理学的マーカーであるβ2-ミクログロブリン項目のみにSO群は正常群に比べ有意に高い値を示した。本結果より、虚弱高齢者における身体機能低下と関連してサルコペニア単独あるいは肥満単独より、サルコペニアと肥満を合わせたSOにおいてリスクが高い可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画(平成23年度)により、虚弱高齢者における筋肉減少症・肥満の表現型の4つのタイプの分類による身体的特徴を明らかにすることができ、概ね計画とおりに進展していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果から、さらに変容可能要因である身体活動のパターンについて明らかにするために、平成24年度は対象者数を追加して検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定である身体活動のパターン測定できる加速度計の物品を平成23年度に導入している。平成24年度の研究費の使用としては、対象者数を追加して課題を検討する計画であることで身体組成評価法であるモバイルDEXAのレンタル費として使用する計画である。また、各種テストに使う消耗品と血液分析に関する消耗品で使用し、本研究成果を国内や国際学会に発表するために旅費として使用する。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Presentation] 地域在住虚弱高齢者における身体組成と身体機能との関係.2011
Author(s)
金美芝, 西真理子, 村山洋史, 清水由美子, 吉田裕人, 小川貴志子, 天野秀紀, 藤原佳典, 深谷太郎, 新開省二.
Organizer
第70回日本公衆衛生学会.
Place of Presentation
秋田, 日本
Year and Date
2011-10-19
-