2011 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニア肥満を考慮した生活習慣病予防のための筋量基準の検討
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23700826
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田邉 解 筑波大学, 体育系, 研究員 (70375484)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | サルコペニア肥満 / 筋量 / 生活習慣病 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
骨格筋は体重の約40%の重量を占める器官であり、運動器としての役割だけでなく、エネルギー代謝器官としての役割も果たす。骨格筋が基礎代謝の約38%を占めること、体内で最大のグリコーゲン貯蔵場所であること、および筋力トレーニングによる筋量増加がインスリン抵抗性を改善するなどという報告からも、骨格筋の代謝調節器官としての重要性が伺える。以上のことから、筋量の多少やサルコペニア肥満の進行度は生活習慣病発症に影響を及ぼす可能性があるが、生活習慣病予防のための筋量の基準については明確になっていない。そこで、本研究では20~79歳の成人男女を対象として、1)生体電気インピーダンス(BI)法により評価した筋量又はサルコペニア肥満と生活習慣病の関係性を明らかにすること、および2)生活習慣病予防のためのBI法で評価される筋量の基準を性・年代別に定めることを目的とした。本研究は、一般への普及をゴールに見据え、簡便かつ短時間で評価が可能な筋量指標の基準を定めることが特色であり、本研究の成果は、より多くの対象の生活習慣病予防と介護予防に利活用されることが期待される。初年度である平成23年度には、目標とする5000人のうち3000人のデータを収集し、目的を達成するためのデータベースの構築が進められた。初年度に収集したデータを使用して行ったプレ分析の結果、BI法で計測した体重当たりの筋量(筋肉率)がメタボリックシンドローム発現率に影響を及ぼす可能性が示唆された。また、生活習慣病予防の基準となり得る筋肉率の値が性・年代別に提案された。次年度以降は、目標サンプル数に至るまでデータを収集し、基準作成の統計的分析及び基準の妥当性の検証を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、20~79歳の成人男女を対象として、生体電気インピーダンス(BI)法により評価した筋量又はサルコペニア肥満と生活習慣病の関係性を明らかにすること、および生活習慣病予防のためのBI法で評価される筋量の基準を性・年代別に定めることを目的とした。初年度である平成23年度は、生活習慣病予防のための筋量の基準作成のためのデータベースを構築することを目的として研究を進めた。結果として、20~79歳の成人男女約3000人のデータを収集し、基準作成のためのデータベースを整理することができた。これらのデータをもとにプレ分析として行った統計分析では、BI法で評価した体重当たりの筋量(筋肉率)とメタボリックシンドローム発現率の間に有意な関係性が認められ、生活習慣病予防のために必要な筋肉率レベルが、性・年代別に異なった形で示された。平成23年度末時点で、目標とする5000人の内、3000人のデータを取得でき、プレ分析を実施できたことは、最終的な研究のアウトプットを出す上で順調な進捗状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、目標とした5000人のデータベースを構築するため、残り2000人のデータ収集を行うこととする。データベースの構築が完了した段階で、サルコペニア肥満を考慮した生活習慣病予防のための筋量基準を提示するための統計的分析を実施する。なお、初年度に実施したプレ分析の結果から、おおよその基準が示されたため、次年度以降はその基準の信頼性及び妥当性の検証を主に進めることとする。また、基準の有用性や妥当性を検討するために、統計処理の結果だけでなく、有識者間での意見交換も行いながら進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は初年度と同様のデータ収集を行うため、引き続きデータ収集のための測定機器の購入、旅費、及びデータ入力に関して研究費を使用する。また、研究推進のための情報収集、有識者会議、及び成果発表に関する旅費、そして統計分析のために必要な消耗品購入について研究費を利用する。
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Research Products
(9 results)